澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

岸田文雄の得意と失意。

(2023年1月16日)
 どうです、わたくし岸田文雄の働きぶり。我ながらホレボレというところ。ときどき自分の才能にニンマリですよ。あのアベさんもできなかった、大軍拡・大増税。事実上、易々とやっちゃった。

 憲法改正はね、自民党結党以来の党是ですよ。「党是」って、「悲願」とか「宿願」っていうこと。明文改憲には、だれも手を付けられなかった。岸信介、中曽根康弘、安倍晋三も、憲法の一字も変えていない。でも、私・岸田が、事実上憲法ぶっ壊しましたものね。大したもんでしょう。

 だから、アメリカ大統領も、私のことをベタ褒めですよ。日本時間での月月14日、バイデン大統領と会いました。皆さん、テレビ見たでしょう。ホワイトハウスの南正面玄関で、アメリカ大統領が私を出迎えたんですよ。「あなたは真のリーダーであり、真の友人だ」とまで言ってくれた。異例の厚遇って話題沸騰ですよ。本当に、私、歓迎されたんだ。多少は、舞い上がってもよいでしょう。もちろん、アメリカの旧式武器を買ってくれるマヌケなお客さんだからって、やっかむ人もいるけどね。

 「岸田は宏池会なんだから、ハト派のはずじゃなかったのか」って。そりゃ、何度も言われますよ。「ハトの卵からタカが生まれた」とか、「ウリの蔓にトリカブトが成った」なんて悪口も。ぜんぜん気にしちゃいませんよ。すべては結果次第でね。

 私は、ハトのフリをしていたわけじゃない。みんなが勝手にそう思い込んでいたというだけのこと。タカの本性丸出しの安倍さんじゃ、みんな警戒したでしょう。でも、「特技は人の言うことをよく聞くこと」なんていう私は警戒されない。なんだ、結局「アメリカと財界と右翼勢力の言うことにしか聞く耳もたなかったのか」なんて気が付いたときには、時既に遅しという次第。本当に、私は有能なんだ。

 何がコツかって? ひとつは、国会論議を避けること。そして、国民を煽ることだね。国民に恐怖を植え付けて、これに火を付けること。中国は恐い。ロシアも恐いぞ。北朝鮮はもっと恐い。恐い相手は、ある日突然何をしてくるか分からない。そのときに備えて、敵基地攻撃能力を備えておかなくてはならない。恐くて悪い敵国も、日本が敵基地攻撃能力を備えていると分かれば、報復を恐れておいそれと日本を攻撃しなくなる。平和が保たれる。これが抑止力。アメリカと一体になれば、もっともっと大きな抑止力ができる。

 抑止力って、戦争を防ぐためのチカラ。これあればこそ、恐くて悪い敵国も、軽々に日本への侵略をすることはない。もちろん、抑止力って軍備のこと。軍備を強くすればするほど、大きくすればするほど、抑止力も高まる。つまり、軍隊を増員し兵器を買い込んで、軍備を拡大し増大すればするほど、平和が来る。なんだか変だって? そんなことはない。平和とは、勝ち取るもの。勝ち取るためには闘わねばならない。闘いには武器が要る。軍備を拡大すればするほど、平和になるわけさ。

 その点、日米首脳に意見の齟齬はない。大統領は私の訪米を歓迎し、両首脳間のパートナーシップ、そして日米同盟はかつてなく強固であると言った。私も返答した。日米両国が近年で最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している中、我が国として、昨年12月に発表した新たな国家安全保障戦略等に基づき、反撃能力の保有を含む防衛力の抜本的強化及び防衛予算の相当な増額を行っていくってね。大統領は喜んでくれた。もう、これで、実際戦争になっても大丈夫さ。

 とは言え、いつまでも国会論議を避けているわけには行かない。もうすぐ、通常国会が始まる。気分は良くないね。予算はすんなり通らないのじゃないかな。なにより、ぶち上げた大軍拡には、大増税が必要だ。国民がすんなり受け容れるはずはない。これ以上の支持率低下はやっぱり恐い。

 それにしても、大軍拡はアメリカからは大歓迎だ。「あなたは真の友人」「あなたこそ真の指導者」と手放しだった。公費を使っての外遊はいい心持ち。お土産だって全部税金だものね。いつまでも外遊していたかった。どうして、同じ大軍拡が、国内では評判悪いのだろう。軍拡すればするほど平和が保障されるっていうのに…。

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