2か月先に迫った、大阪府市首長のダブル選。争点は、カジノ誘致反対の一点であろう。
(2023年2月8日)
統一地方選が近い。全国の政治地図は、どう塗り替えられるのだろうか。
全国ではなく局地的な選挙戦としては、大阪の知事選・市長選(4月9日)が大きく耳目を集めることになるだろう。大阪府下で育った者としても関心を持たざるを得ない。このダブル選、わずか2か月先のことである。報じられている情報をまとめてみた。
府知事選は、現職の「イソジン・吉村」に、辰巳孝太郎と谷口真由美が挑む構図だが、どちらも反維新。大阪で反維新勢力が割れてしまってどうする、どうして共闘できないのかと、やきもきせざるを得ない。
かつて、維新は、大阪都構想を「一丁目一番地」の看板政策とし、非維新連合に敗れた。今さら、その蒸し返しはあるまい。だが、「大阪都構想・反対」を軸とする非維新共闘を困難にもしているという。
ダブル選挙の最大の争点は、夢洲のカジノ誘致への賛否であろう。賭博場を作って、博打のテラ銭での地域振興策など、真っ当な感覚からはありえない政策ではないか。真っ当ならざる維新の提案は、さもありなんではあっても、これが府民に浸透するだろうか。そして、辰巳が「カジノ反対」を鮮明にしているのに比して、谷口が「カジノには慎重」な微温的立場と報じられているのが気にかかってならない。
谷口を擁立した、「アップデートおおさか」は1月に設立届を府選管に出したばかり。自民党や立憲民主党に、ウィングを広げて「非維新」勢力の結集を目指すという。谷口がカジノ反対と言わない歯切れの悪さは、自民党や関西財界への思惑からのことであろうか。こういう構図にしかならない、大阪の政治状況がもどかしくてならない。
しかし、カジノ誘致・建設反対の住民の声は高い。現在、国が計画を審査しているが、夢洲では液状化や地盤沈下の恐れが指摘され、ギャンブル依存症の問題も懸念される。
昨年、カジノに反対の市民団体が19万筆超の署名を集めて住民投票条例案が府議会に提出されたが、維新などの反対で7月に否決されている。このマグマは、けっして冷えてはいない。しかし、この過程で自民党は必ずしも旗幟鮮明ではなかったという。「誘致に賛成の府議団と反対の市議団で態度が割れている」とも報じられている。
もう一つの政策課題が、「教育無償化」である。これまでも維新は教育無償化についてたびたび触れ、政策として主張してきた。しかし、その主張に対して「あまりにミスリード」と批判の声が上がっているという。
1月29日放送のNHK『日曜討論』で、番組に出演した維新の藤田文武幹事長は番組内で「いわゆる0歳から大学までの高等教育までの無償化というのは大阪限定ですが実現しました」という発言をした。
今この「ミスリード」が叩かれている。「国が全国一律に事業としてやっていることを、さも大阪だけが実現できたといっている」と。
「大阪でやっている教育費の無償化というのは私立高校の授業料無償化(所得制限あり・年収590万円未満)と大阪公立大学の授業料無償化(所得制限あり・年収590万円未満)だけです。そのほかの無償化というのは国が全国一律にやっていること。こうした維新の『無償化キャンペーン』とも言えるミスリードは、過去にも繰り返されてきたという。
今は、維新の「教育完全無償化」キャンペーンに惑わされず、カジノ誘致反対で維新を追い詰めてもらいたい。そう、切に望むしかない。