澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「維新の八悪」?維新に投票してはならないこれだけの理由

このようにお考えの方は案外多いのではないだろうか。
「自民は嫌いだ。カネに汚い。大企業と大金持ちの味方だ。アメリカベッタリで、戦争の臭いがする。とりわけ安倍はアブナイ」「公明党は安倍自民の下駄の雪。結局は、アブナイ路線の補完勢力ではないか。だから、到底公明党には投票する気になれない」「自公を避けて、一時は民主に期待したのだ。ところが大きく裏切られてしまった。今さら、民主党でもあるまい」「とすれば、第三極にやらせてみるしか選択肢がないんじゃない?」

「第三極といっても、みんなの党がみっともなくつぶれて、その片割れが維新に合流している。結局維新の党しか投票先はないことになる」「維新を信用しているわけじゃない。しかし、未知の魅力にかけてみるという選択肢はあると思う」「維新の選挙演説を聴いていると、大阪では『身を切る改革』というのをやっているようだ。それを全国で、あるいは国政でやってもらったらいいんじゃないの?」

トンデモナイ。維新こそは、安倍自民の外からの補完勢力。改憲を、前から引っ張り、後から押している。しかも、徹底した新自由主義の弱い者イジメに徹したアブナイ集団。こんなところへ大事な一票を投じてはならない。
大阪維新が、世論の風向きを眺めながら、鉛筆を舐め舐め「維新八策」などを書いたり消したりしていた当時は、政策の上では中身のない空っぽ政党に過ぎなかった。それが今は、安倍路線との結びつきを深め、新自由主義と軍事大国化を目ざす勢力として明確になってきている。しかも、この政党はコンプライアンス意識にきわめて乏しい。社会に喝采を得られると思えば、敵を作って徹底していじめようとする。常套とする手口がきわめて危険な政党なのだ。

維新に投票してはならない理由を8項目にまとめてみた。もっと本質的な維新の反民主主義的性格を掘り下げてみたいところだが、とりあえずは分かり易いところでの指摘である。これを「維新八悪」と言おう。あるいは「八難」でもよい。「色の白いは七難隠す。隠すに隠せぬ維新の八難」である。

(1) 維新は、安倍改憲路線の親密なパートナーである。
維新と安倍政権とは、改憲策動に関して秋波を送りあう親密な間柄となっている。橋下徹が、「憲法改正について出来ることは何でもする。ぜひ実現してほしい」と語って首相に全面的に擦り寄り、安倍が大阪都構想に協力する姿勢を示す関係となっている。これまでは、「あやしい仲」だったのが、いまや人目をはばからない「公然たる仲」となり、安倍壊憲政権の補完勢力として、公明とならぶ重要な存在なのだ。
今通常国会でも、安倍政権の「応援団」の性格を鮮明にしている。衆院予算委員会で、松浪健太幹事長代行が「憲法改正で、国の形が国民の手で変わっていくんだと示していきたい」「総理は憲法改正を早くやるべきだとは思わないのか」と改憲をけしかけた質問までしている。維新は、改憲発議の尖兵の役割を負うことになるだろう。
また、維新の議員が「大事なことは、この予算委員会、国会に集まっているわれわれが力をあわせてアベノミクスを成功させることだ」とまで言っている。第三極どころか、自民の別働隊、しかも閣外で右寄りの別働隊と知らねばならない。

(2) 維新は、甚だしく遵法精神に欠ける。
選挙の都度、維新の違反は目に余る。特に2012年12月総選挙では、公職選挙法違反の「買収」容疑で逮捕された8人中6人が「日本維新の会」陣営だった。そのなかに、大阪7区の上西小百合陣営の運動員、愛媛4区の桜内文城陣営の運動員、大阪9区に出馬し初当選した足立康史陣営の運動員3人が含まれている。
維新の違法は、思想調査アンケート問題、刺青調査拒否に対する懲戒処分、組合事務所使用不許可事件等々枚挙に暇がない。こんな体質の政党は他にはない。
週刊新潮の最新号(4月16日号)に維新に集う人々のスキャンダル一覧が掲載されている。標題が、「橋下チルドレン不祥事一覧」というもの。衆院議員から市会議員まで16件の議員不祥事と、10件の公募区長・校長・教育長の不祥事。こんな政党を信用できようはずがない。

(3) 維新は言ってることとやってることが大きく異なる。
政党が「身を切る改革」をいうときの第一歩は、政党助成金の廃止でなければならない。維新は、けっしてそのことは口にしない。税金から政治資金を貰っておいての「身を切る改革」は筋が通らない。そればかりか、橋下徹大阪市長は自分の後援会幹部の息子を特別秘書として採用し、大坂市の税金で給与を払っている。この特別秘書は実は仕事らしい仕事をしていない。市長が、自らの後援会幹部の息子を税金で養っているという疑惑を解明すべく、大阪市民が監査請求をし、現在住民訴訟が大阪地裁に係属している。やがて、判決の形でその全貌が明らかになるだろう。

(4) 維新の政策は弱い者イジメの手法に貫かれている。
維新の常套手口は、イジメである。イジメの対象を探し、周囲にイジメに参加するよう煽動する。イジメに参加したものは、カタルシスを味わって維新の支持者となる。
イジメの対象は、権力者や財界ではない。庶民の妬みの相手が選ばれる。これまでのところ、教員であり、公務員であり、労働組合である。そのバッシングの成果として、経費を節約したとしたと誇っている。バッシングに参加した庶民は、カタルシスは得たかも知れないが、結局は自分の権利や賃金の水準をも、低下させているのだ。

(5) 維新の教育政策は強権的な国家主義である。
維新の教育政策は、民間校長の「君が代口元チェック」に象徴される。
驚くべき国家主義、強権主義、管理主義である。ファシズムに通じるハシズムが話題となったが、維新という集団の本質的な恐ろしさが、君が代斉唱の口元チェックに表れている。口元チェックの次は、心の中までの服従を求めることになるだろう。

(6) 維新は労働運動弾圧政党である。
維新の党の足立康史衆院議員は厚生労働委員会で質問に立ち、元私設秘書から未払いの残業代700万円を請求されたことを明かし『払うことはできない。私たち政治家の事務所は、残業代をきっちりと労働基準法に沿って払えるような態勢かと問題提起したい』と述べ、未払いを正当化した。彼は『私は24時間365日仕事をする。そういう中、秘書だけ法に沿って残業代を支払うことはできない』と持論を展開。元秘書からの請求に対しては『ふざけるなと思う』と強弁。
維新は、労働者に対してかくのごとく冷たい。労働者の権利主張に対しての「フザケルナ」という圧殺の姿勢が、維新の本質である。もちろん、労働組合弾圧もこの政党のお家芸である。

(7) 維新はカジノ大好き政党である。
新自由主義のしからしむるところ。維新は、カジノ大好き政党である。大阪で維新を勝たせれば大阪にカジノが生まれる公算が高い。賭博は社会に害毒を流すものとして犯罪である。物を作らず、価値を生まず、ギャンブル依存症の中毒症状と諸々の不幸のみを生じさせる。この選挙で維新を勝たせて、ギャンブル禍の社会にしてはならない。

(8) 維新にはまっとうな人材がいない
「国会サボり事件」で大阪維新の会を除名になった上西小百合衆議院議員、秘書への残業代不払い宣言の足立議員、パワハラ辞職の中原教育長、そして橋下徹市長が、公募で採用した11人の『民間人校長』。そのうち6人が保護者へのセクハラなど問題を起こし、市民から批判をあびることになっている。ラインで仲間はずれにされたとかで女子中学生を恫喝した山本景大阪府会議員。飲酒運転で接触事故を起こしながらそのまま逃走した西井勝元堺市議会議員などなど。著名な人材には事欠かない。やはり、類は友を呼ぶ結果というべきだろう。お粗末極まる人々。本当にこれが政党なのか、疑わざるを得ない。

あなたの大事な一票。ドブに捨てるならまだしも、将来はあなたに襲いかかりかねない危険な野獣を太らせる一票としてはならない。
(2015年4月10日)

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