澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

勲章ー押し戴く人と、興味ないと言う人と

11月3日、憲法公布記念日である。「憲法大嫌い政権」と、「憲法守れと声を上げる民衆」とのせめぎ合いが続く中での憲法公布69周年。民主主義の世に、どうしてこんなぶざまな政権が存在しうるのか。つくづく思う。民主主義って何だ? 答えは出て来ない。

せめては「アベ政治を許さない」のポスターを掲げよう。下記のURLからダウンロードしたA4のポスターをクリアケースに入れて、午後1時本郷三丁目の駅頭に立った。
https://sites.google.com/site/hisaesawachi/test/sho_f.pdf?attredirects=0
妻と二人だけ、両手に各一枚。横断幕もビラの配布もマイクもない。ひたすら、人間掲示板として30分。休日のこととて人通りは少なかった。

さて11月3日、文化の日。これを「明治の日」にという右翼の動きがある。戦前は明治節。明治期には天長節だった。昔も今も、天皇制に絡めとられた日本を考えさせられる日である。

この日に、秋の叙勲なるものが発表される。毎年、春と秋とに各4000人にも授章がある。昔は、勲一等などの等級がつけられていた。特級酒・一級酒・二級酒、あるいは寿司を注文する際の松・竹・梅のあの感覚。下級の勲章は、「くんぱち」とか「くんろく」と呼ばれたようだ。今は、大・中・小だ。小綬章以下は都道府県で、中綬章は東京プリンスホテル「鳳凰の間」で伝達式が行われる。大綬章等勲章親授式は皇居で行われるという。

公的に、天皇の名によって人間を差別し格付ける愚かな制度。こんなものを欲しがる者がおり、もらって嬉しがる者がいて、制度がなり立っている。

驚いたことに、あのアーミテージが受賞者の一人となっている。よく見るとラムズフェルド(元国防長官)もだ。戦後の保守政権と天皇が、東京大空襲で10万人の住民を焼き殺した張本人、カーチス・ル・メイに勲一等旭日大綬章を授与したことを思い出す。彼らも、勲章もらうと嬉しいのだろうか。

ご存じ、芥川龍之介の「侏儒の言葉」の中の「小児」と題する一節。
「軍人は小児に近いものである。…軍人の誇りとするものは必ず小児の玩具に似ている。緋縅の鎧や鍬形の兜は成人の趣味にかなったものではない。勲章もーわたしには実際不思議である。なぜ軍人は酒にも酔わずに、勲章を下げて歩かれるのであろう?」

まったく同感。芥川の時代から90年、敗戦をはさんで日本人はさして変わっていない。なぜ、毎年8000人もの人が、酒にも酔わずに、恥ずかしげもなく、勲章を押し戴いているのだろうか?

国家が国民を束ねる基本手段は、ムチとアメと、そしてダマシの3種である。私には、勲章がアメにもダマシにもなることが不思議でならない。

30代半ばの頃、私は岩手弁護士会の若手だった。全会員30人余の小会だったが、何度か長老弁護士に叙勲の機会があった。弁護士会長経験者は勲四等、東北弁連会長だと三等、日弁連会長やれば二等と相場は決まっていた。小単位会では、誰もが回り持ちで会長を務める。誰もが最低勲四等受賞資格者にはなるわけだ。もちろん、「在野を誇りとする弁護士に勲章はふさわしくない」という尊敬すべき辞退者は少なくなかった。が、尊敬すべからざる受勲者もあった。

受勲者があると弁護士会が祝賀会を催した。私は、たった一度だけだが、その祝賀会に出席したことがある。若気の至り。何度か経験した大きな禍根のひとつ。その時の受勲者は、榊原孝さんという長老だった。親しくはしていたが、戦前道場を開いて若者に臣民の道を説いていたという伝説のある方。岩手靖国訴訟では、被告代理人席に着座していた。当時の岩手弁護士会長は、後に社会党から代議士になった山中邦紀さんだった。弁護士には珍しい教養人。その山中さんが、私を説得した。「澤藤さん、ここは弁護士会の和を大切にしましょうよ」「勲章を天皇からもらうと思えば角も立つでしょうが、天皇は国民の象徴なのだから、国民からの表彰と思えばよろしいのでは」。

山中さんへの義理立てで心ならずも出席したその席に、勲何等かの叙勲の位記が恭しく飾られていた。御名御璽なるものを、このときはじめてつくづくと眺めた。主賓の榊原さんが、声涙下るスピーチをされた。
「私ごとき者に、陛下から過分の思し召しをいただき感激に耐えません」という趣旨で、私はこんな席に出たことを激しく後悔し、恥ずかしいと思った。以後二度と、「叙勲おめでとう」などと間違ったことを口にしたことはない。

先日、大学(1・2年生時)の同期会で金沢に遊んだ。誰も何者でもなく、何の肩書もない時代に知り合って付き合った仲間たち。今また、ほとんどが肩書なく、何ものでもなくなって気が置けない付き合いを復活している。「このグループは貴重な存在だ。昔のままで恰好つけなくても付き合える」という一人の述懐のとおり、みんなチョボチョボ、今さら恰好をつけてもどうにもならない。

私も含めその仲間のほとんどが叙位叙勲なんぞとは無縁、無関係。ところがたった一人、参加者の中に、国立大学名誉教授という「立派な肩書」をもつ者がいる。何のきっかけか、勲章の話しになった。誰かが、「おまえ、まだ勲章もらわないのか」と興味深そうに問いかけたら、名誉教授君はさらりと答えた。

「アンケートみたいな問合せがくるんだよ。勲章もらいますか、もらいませんかっていうような。ボクは、そんなのに興味ないから、もらいませんって回答したんだ。それだけのこと」

私は常々天皇制を罵倒し天皇制に無批判な世相を嘆いている。が、名誉教授君はそうではない。「どうしてそんなにムキになれるんだよ」と冷ややかなのだ。それでも、「勲章に興味なんてない」とサラリと言ってのけるさわやかさに感動を覚えた。やっぱり、昔の仲間はよい。いや、よい仲間に恵まれたというべきなのだろう。
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「NHK包囲行動」第2弾が11月7日(土)実施されます!
 NHK包囲行動『アベチャンネル』はゴメンだ! にご参加ください
 日時: 2015年11月7日(土)
  PM 1:30?2:45 集会:NHK(渋谷)西門前でリレートーク
  PM 2:45?3:15 宮下公園北側へ移動
  PM 3:15?3:30 デモコースの説明・諸注意、コールの練習
  PM 3:30?4:00 宮下公園北側からデモスタート、神宮通公園ゴール
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 告知チラシPDFダウンロード 
   表→http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/20151107/a117omotehoi.pdf 
   裏→http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/20151107/a117urahoi.pdf
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カンパのお願い :『アベチャンネル』はゴメンだ!NHK包囲行動第2弾
前回の8.25行動ではみなさまの多大なご支援をいただきました。今回の11.7行動はその時のカンパの残金で進めてまいりましたが、前回に比べ
(1) 今回は”西門前”だけでのリレートーク、コールなのでかなり細長い集団になります。そのため端の人にまでトークが聞こえるように音響効果をうまく考えなければならず、機材、調整技術等に費用がかかる。
(2) デモに必要な車、機材、プラカード等の費用など
のため、大幅な赤字になってしまいました。
 そのため大変恐れ入りますがまたまたカンパのお願いをしなければならない状況です。よろしくお願い申し上げます。
                   2015.10.20 NHK包囲行動委員会
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下記口座へ振り込みをおねがいします。
(1)ゆうちょ総合口座番号 10420-21759161 名義「NHK包囲行動実行委員会」
これはゆうちょ口座から振り込むときの番号です。
(2)ゆうちょ以外の金融機関の口座からの振込む場合は口座番号が変わって
  〇四八-048-2175916 名義「NHK包囲行動実行委員会」になります。
 (〔店名〕〇四八 (ゼロヨンハチ)〔店番〕048 〔普通預金〕 〔口座番号〕2175916)
よろしくお願い致します。
(2015年11月3日・連続第947回)

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