澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

書き初めに勇ましい字が出ぬように(かうぞう)

一昨日(5月19日)毎日新聞「仲畑流万能川柳」の年間賞表彰式があった。
2017年の投稿59万句から選ばれた年間大賞は、

  書き初めに勇ましい字が出ぬように

2017年1月1日に掲載された句。大阪府高槻市作野一男(柳名・かうぞう)の作。

特に優れた句とは思えない。しかし、選者には、これが時代の空気を反映した注目すべき警句と解されたのだ。かつて、戦争の時代には、「勇ましい字」が書き初めに躍った。「勇ましさ」はことさらの「憎悪」や「差別」、そして「非人間性」をともなうものでもあった。

1字の勇ましい字なら、こんなところであろうか。
  武 勇 征 勝 皇 国 奮 闘 軍 戦 

2字なら、

?必勝 皇基 大君 軍機 皇楯 聖戦 撃滅 尽忠 忠義 愛国 …

4字熟語となれば、

?滅私奉公 挙国一致 尽忠報国 堅忍不抜 一億一心 七生報国 八紘一宇 鬼畜米英 五族協和 …

そして、戦時の戦意高揚標語の数々。以下は、落合道人、前坂俊之などが、収集し整理したものの孫引きだが、なかなかみごとなものではないか。まこと、わが大八洲は言霊の幸ふ国なのだ。但し、言霊は、科学にも物量にもかなわなかった。

「護る軍機は 妻子も他人」「国のためなら 愛児も金も」「空へ この子も捧げよう」「金は政府へ 身は大君へ」「支那の子供も 日本の言葉」「笑顔で受取る 召集令」「家庭は 小さな翼賛会」「りつぱな戦死とゑがほの老母」「屑も俺等も七生報国」「翼賛は 戸毎に下る 動員令」「強く育てよ 召される子ども」「働いて 耐えて笑つて 御奉公」「屠れ米英 われらの敵だ」「子も馬も 捧げて次は 鉄と銅」「まだまだ足りない 辛抱努力」「国が第一 私は第二」「任務は重く 命は軽く」「一億が みな砲台と なる覚悟」「科学戦にも 神を出せ」「二人して 五人育てて 一人前」「産んで殖やして 育てて皇楯(みたて)」「日の丸で 埋めよ倫敦(ロンドン) 紐育(ニューヨーク)」「米英を 消して明るい 世界地図」「初湯から 御楯と願う 国の母」「嬉しいな 僕の貯金が 弾になる」「百年の うらみを晴らせ 日本刀」「アメリカ人をぶち殺せ!」「征け 米英にとどめ刺すまで」「突け 米英の心臓を」「米鬼を一匹も生かすな!」「今に見ろ 敵の本土は焼け野原」「撃滅へ一億怒濤の体当たり」

今は、「憲法に明記するだけ自衛隊」という時代だが、投句者や選者には、こんな「勇ましい」書き初めをする近未来が、見えているのかも知れない。
(2018年5月21日)

いま、学問的には『人種』という(差別的)概念は使いません。

本日は、姪の結婚式に出席。
さわやかな季節に、さわやかな天候に恵まれた、ステキな結婚式だった。

私には3人の弟妹があり、それぞれが子をなしているが、そのすべてが女性。8人の姪がいて甥はない。今日は6人目の姪の結婚式。宗教色のまったくない人前結婚式が清々しい。

東大駒場構内にあるレストラン・ルヴェソンヴェールの中庭にしつらえた式場で、2人がそれぞれに考えた結婚の誓いを読み上げ、近親者の大きな拍手に包まれた。お互いが対等なパートナーとして尊重しあって、2人の人生を築き上げていく決意が伝わってくる。2人は既に婚姻届は提出済みで、新婦の姓を名乗ることを届けているという。なお、2人とも研究者である。

新郎が、軽やかに挨拶した。

「姓をどちらにするかには、あまりこだわりはありませんでした。でも、周りの女性から、『結婚で姓が変わるって、面倒で大変なこと』とよく聞いていましたので、それならその面倒を自分が引き受けて体験してみよう、と思ったんです」「で実際にやってみて、大変なことを経験しました。いろんな手続が煩わしいだけでなく、お金もかかるんですね」
選択的別姓制度の実現は、間もなくのようでなかなか実現しない。

この新郎、本日の新婦のドレスまで手作りしたという。立派なものだ。このような若者が育っていることに意を強くする。

新婦である姪は、わが親族の中でただ1人の研究者。この姪の専攻分野が古代人の骨や歯のDNA解析だとは、以前から聞いていた。人類学や考古学と重なる研究をしているのだそうだ。

「人類学とはロマンの学問であると思う。人の役には立たなくても,ヒトの謎を解明するというロマンに魅せられて,人類学者は突き進んでいく。私が研究している古代DNA解析という分野は,特にその傾向が強い。遺跡から発掘された骨や歯などの遺骸から,DNAを抽出して過去の人々の遺伝情報を読み解く。そこには様々な情報が眠っている。例えば,ネアンデルタール人と私たちホモ・サピエンスが混血していたことは,2010年に古代DNA分析によって明らかになり,人類学界に衝撃が走るほどの大きなニュースとなった。

何年か前の彼女の一文である。なるほど、そんなことをやっているのだ。

で、披露宴の最中に、ウェディングドレス姿の新婦に、不粋な質問をしてみた。

「骨のDNA分析で、日本人と韓国・朝鮮人、あるいは中国人との区別や同定は可能なの?」
「それは無理ですね。」

「DNA分析での人種の特定って、確率論的にはできるんじゃない?」
「今、学問的には『人種』という概念は使いません。それは、無意味だし、差別でしょう。」

私は、姪から教えられて納得した。民族は人文学的概念だが、人種とは自然科学上の概念だと思いこんでいた。しかし、DNAの研究者が、「今、学問的には『人種』という概念は使いません。」というのだ。人種概念は、学問的に無意味であるだけでなく、邪悪な思惑のはいりこんだ「差別」なのだ。

私の質問は日本人優越思想という根拠のないバカげた俗説への反駁のためである。もちろん、日本人劣等説もバカげた俗説である。ホモサピエンスに、優等も劣等もありえない。

日本人優越のバカげた俗説とは、たとえば吉田嘉明(DHC会長)のいう、以下のごとき「ヘイトに満ちたデマ」である。

「最近、遺伝子の研究により、日本人は彼ら(中国人や韓国人)とは全く関係のない民族だということが分かってきました。縄文人の遺伝子を解析したら、他のアジア人とはまるで違う人種であったというのです」「アジアの中でも唯一日本人だけがヨーロッパ人に近い民族だった」「顔は似ていても、どうして中国人や韓国人とはこうも違うのだろうと思っていたことが、ここへきてやっと氷解しました」「我々は全くの異人種である韓国人と仲良くすることはあっても、そして多少は移民として受け入れることはあっても、決して大量にこの国に入れてはいけない」

日本人の成り立ちに関する有力な学説として、埴原和郎の「二重構造モデル」説がある。弥生時代に大陸からやってきた渡来人が日本列島に移住し、縄文人と混血したが、列島の両端に住むアイヌと沖縄の人たちは渡来人との混血が少なかったために縄文人の遺伝的要素を強く残した、というものだ。相対的に、内地人は、縄文人の遺伝的要素が小さいことになる。「最新のDNA解析によって、『二重構造モデル』はほぼ裏付けられたと言ってよい」のだという。

意外なことに、三貫地遺跡(福島県)から出た縄文人のDNA配列は、現代日本人とわずか12%の共通部分しかもたないという。「縄文人の遺伝子を解析したら、他のアジア人とはまるで違う人種であった」にせよ、現代日本人のDNAは、圧倒的に渡来人系優勢ということになる。吉田嘉明の作文は妄説に過ぎない。

当然のことだが、縄文系と渡来人系、どちらのDNAが優勢かで、日本人の優等・劣等を論じることはできない。そもそも、日本人と近隣諸国の国民を比較して、優劣を論じること自体がバカげているのだ。それは科学的に無意味であり、差別でもあるのだから。
(2018年5月20日)

ソンタクこそは日本文化の神髄である

「忖度」、そりゃ大切だ。周りとうまくやるためには、一に忖度、二に忖度。
処世の要諦、これ忖度。忖度なしには、世渡りできない暮らせない。

出世しようと思うなら、ね、キミ。
上司の意中を忖度できなくっちゃね。

なんてったって、ソンタクこそは日本文化の神髄だ。忖度なくして、われわれの和の文化はあり得ない。忖度があって初めて、美しい日本の社会が存在するんだ。 17か条の憲法も、教育勅語も、忖度でできている。忖度は、大和民族の文化でもあり、伝統でもあるのだ。

そう。忖度は、男尊女卑や、大勢順応、権威追随、権力への諂いなどとともに、民族の優れた精神的遺産なのだ。天皇制とともに、いつまでも大切にしなければならない。しかも、今や、企業文化の基盤となっているのだからね。

いいかね、この社会は上位の者と下位の者とが階層をなしてできている、みんながみんな人間は平等だ、なんて言いだしたらいったいどうなる。この社会の平穏な秩序が壊れてしまうじゃないか。これを防ぐのが、忖度の文化だ。下位者の上位への自発的服従という美風だ。

社会の秩序を守るために、いにしえの聖人が道を説いてきた。たとえば、五倫。君臣の義、父子の親、夫婦の別、長幼の序、朋友の信だ。今なら、さらに富者と貧者の和、多数派と少数派の議。あるいは諸民族間の敬であろうか。

この五倫をパクって、極端な国家主義と天皇崇拝を混ぜて拵え上げたのが教育勅語だ。臣は君に、子は父に、妻は夫に、幼は長に、そして朋友は互いに、忖度せよというわけだ。臣たる者、君命の出づる前に、主君の心中を察して行動せよ、言いにくいことを言わせるな。これが忖度の意味であり精神文化たる所以。

暴力団の鉄砲玉は、組長からあいつを襲えと具体的な指示を受けるわけではない。言われる前に、立派に忖度して組長の意に沿うのだ。そして、事後には組長から指示を受けていないと、組と組長を守ることになる。これこそ忖度文化の到達点。

戦前の天皇制がそうだった。天皇はけっして自ら命令を下さない。しかし、東条をはじめとする群臣は、例外なく、天皇(裕仁)の意向を忖度して、オオミココロに沿ったのだ。そうしてこそ、天皇の意思を実現しつつも、天皇の法的政治的責任を免じる口実をつくるのだ。

「木戸幸一日記」や「原田熊雄日記」が示すように、上奏以前の内奏等の過程で、天皇はしばしば質問(下問)や沈黙の形で、自らの意思を間接に示しており、そこから内奏者等は天皇の意思をまさに「忖度」して、その意に沿って何らかの決定を行っているのである。(横田耕一・「忖度」が横行する社会)

戦後今に至るも、この伝統は受け継がれている。いま、「天皇(明仁)の意に沿うべきだ」などと恥ずかしげなく言える空気が世に満ちている

「和をもって貴しとなす」も同じことだ。「和」とは、もちろん主体性をもった平等者間の連帯や団結のことではない。下っ端役人は上級官僚にツベコベ言うな。官僚は天皇に逆らってはならない。上からの命令や懲罰によってではなく、下僚の上級に対する自発的な服従でできあがる官僚秩序の形成を「貴い」としたのだ。これこそ、忖度の文化と伝統の草分けではないか。いま、これがわが国の企業内人間関係に生きていて、愚物の企業経営者が、社内の「和」を説いている。

文化と伝統の墨守は、保守政党のお手のもの。モリ・カケ事件でのアベ晋三は、忖度した官僚を、トカゲの尻尾よろしく切り捨てて涼しい顔だ。「私も妻も、けっして指示なんぞしていない」というわけだ。

日大アメフト部の監督も、この辺はよく心得ている。
「弊部の指導方針は、ルールに基づいた『厳しさ』を求めるものでありますが、今回、指導者による指導と選手の受け取り方に乖離が起きていたことが問題の本質」と言ってのけた。これはホンネだろうが、たいしたものだ。

この監督は、ルール違反のタックルで相手チームの主力選手にケガを負わせろ、とまでは言っていなかったのかも知れない。しかし、当の選手には監督が何を望んでいるかは、明瞭に「忖度」可能だったのだ。だから、監督の望むとおりに実行した。

監督の側は、いざというときは、「自分は指示をしていない」「選手が忖度した結果だとすれば、それは勝手にした間違った忖度だ」と逃れることを想定している。天皇も、アベも、組長も、そして体育部の監督も、忖度文化の利益を存分に享受しているのだ。

だけどね、キミ。「忖度」がいつもうまく行くとは限らない。
出世しようと上司の意中を忖度した結果が、上司に裏切られることも、往々にしてあるんだな。その場合は、泣くに泣けない悲劇となる。

「忖度」にも、相応の覚悟が必要ってことだ。佐川や、柳瀬や、迫田や、美並などの行く末をよくよく見てみようじゃないか。
(2018年5月19日)

吉田嘉明(DHC会長)とは、かような人物である ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第131弾

私は、吉田嘉明(DHC会長)とは、ヘイトとデマ(ないしフェイク)を専らとするレイシストであると言い続けてきた。だから、人権や民主主義を大切にする志のある賢い消費者はけっしてDHCの製品を買ってはいけない、とも言ってきた。迂闊にもあなたがDHCの製品を購入すると、それによるDHCや吉田の販売利益の集積が差別言論の原資となってこの社会を汚染することになるのだ。

このような主張には、吉田嘉明(DHC会長)とはいかなる人物かの説明が必要である。そして、その説明には通常人が納得しうる根拠たる事実の摘示をしなければならない。この摘示事実に関する資料を収集するには、それなりの労力を要する。言わば、端的にいえば、吉田嘉明がレイシストであることの論証のための証拠収集の苦労である。

ところが、吉田嘉明自らが、自分をこんな人物であると明らかにする手記があることを教えられた。まことにありがたい。吉田が自分で自分をさらけ出しているのだから、これを多くの人に知ってもらえばよいことになる。

タイトルは 「『ニュース女子』騒動、BPOは正気か」
URLは   https://ironna.jp/article/9559

これを一読戴いて、「こんな手記を書く人物が経営する企業の製品を買う気になりますか」「こんな企業を太らせてよいと思いますか」と良識ある人に訴えたいのだ。この手記を掲載してくれた、産経新聞のiRONNAに感謝したい。

なぜ、私がDHC・吉田嘉明のレイシストぶりを社会に明らかにしようとしているか。
私は、当ブログで吉田嘉明という人物を批判して、DHCと吉田嘉明から、典型的なスラップ訴訟をしかけられた。吉田は、自分に対する批判の言論の萎縮を狙って、私に対して2000万円の損害賠償請求訴訟を提起したのだ。

この吉田嘉明なる人物は、渡辺喜美という政治家に8億円もの裏金を提供したことを自ら週刊誌に公表した。当然に、多くの論者から、「カネで政治を動かそうとする薄汚い行為」「行政(厚労・消費者等)から規制を受ける立場にある企業が行政規制を嫌って政治を動かそうとしている」と批判を浴びた。私も、当ブログで3度厳しく批判した。吉田は、この批判に耳を傾けて反省するのではなく、少なくとも10件のスラップの提起で、批判の言論を押さえ込もうと躍起になった。自分で火を付けておいて、これを消そうと動き回ったのだ。

私に対する2000万円のスラップ訴訟もそのひとつ。私が、吉田嘉明のスラップ訴訟を許さないとして当ブログで反撃を開始すると、2000万円の請求額は6000万円に跳ね上がった。自らの行動で、スラップを証明したのだ。

DHC・吉田嘉明の私に対するスラップ訴訟は最高裁まで持ち込まれて私の勝訴が確定し、いまは反撃訴訟が係属中である。スラップの提起を違法として、私からDHC・吉田嘉明に対する660万円の損害賠償請求をしている。

DHC・吉田嘉明の私に対するスラップの提起は、言論の自由の抑圧である。抑圧対象となった私の言論は、典型的な政治的言論であり、消費者利益を擁護する立場のものである。カネの力で政治を動かそうとした吉田嘉明は、カネの力で自分への批判の言論を抑圧しようと行動したのだ。それだけではなく、「ニュース女子」問題で明らかになったとおり、吉田嘉明は札付きのレイシストであって、DHC・吉田嘉明を儲けさせることは、差別主義正当化宣伝の原資を太らせることにもなるのだ。

だから、言論の自由を擁護するためだけでなく、国民の知る権利の擁護のためにも、民族差別をなくすためにも、DHC製品不買の運動で、DHC・吉田嘉明を許さないという世論形成が必要なのだ。

iRONNA掲載の下記手記において、吉田嘉明自身が、自分とは何者であるかを余すところなく語っている。彼自身の無力な否認にもかかわらず、紛れもないレイシストであることを。のみならず、右翼礼賛で、「反日」「反安倍」を徹底して批判する立場であり、すべてが在日の陰謀だという妄想家であることも。自分が極端に右側に位置しているがゆえに、世の中のすべてを左側に見ている。およそ没論理の文章の中に、民族差別の異様な感情だけが鮮明となっている。そして、従業員の定期購読新聞にまで介入できると思い込んでいる、知性と常識を欠いたおそるべき独善性…。

しかし、世の中は広い。良識派ばかりとは限らない。いまだに、アベ内閣を支持する3割が社会にあるご時世。中には「『反韓国・反朝鮮』『反在日』『反朝日』『親安倍』『親右翼』だから、DHC・吉田嘉明を支持する」という者もあろう。そういう輩には、白井聡の次の言葉を贈ろう。

「本物の奴隷とは、奴隷である状態をこの上なく素晴らしいものと考え、自らが奴隷であることを否認する奴隷である。さらにこの奴隷が完璧な奴隷である所以は、どれほど否認しようが、奴隷は奴隷に過ぎないという不愉快な事実を思い起こさせる自由人を非難し誹謗中傷する点にある。」

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「ニュース女子」騒動、BPOは正気か  吉田嘉明手記

今、問題になっている放送倫理・番組向上機構(BPO)についてですが、まずこの倫理という言葉を辞書で調べてみると「善悪・正邪の判断において普遍的な基準となるもの」(「大辞泉」)ということになっています。そもそも委員のほとんどが反日、左翼という極端に偏った組織に「善悪・正邪」の判断などできるのでしょうか。

 沖縄問題に関わっている在日コリアンを中心にした活動家に、彼らが肩入れするのは恐らく同胞愛に起因しているものと思われます。私どもは同じように、わが同胞、沖縄県民の惨状を見て、止むに止まれぬ気持ちから放映に踏み切ったのです。これこそが善意ある正義の行動ではないでしょうか。

 先日、情報バラエティー番組『ニュース女子』の問題に関して、朝日新聞が「放送の打ち切り決定」というニュースを大々的に流したようですが、『ニュース女子』の放映は今も打ち切ってはいません。これからも全国17社の地上波放送局で放映は続行します。

?ただ、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)では流さないというだけのことです。DHCの方から、MXテレビとの取引はお断りしました。「番組内容を全面的に変えたい」「『ニュース女子』というタイトルを全く違うものに変更したい」との申し出があり、それにはきっぱりとお断りしたというのが内情です。

 朝日新聞の報道を知って「もう『ニュース女子』は永久に見られないのか」とがっかりされたファンの方も大勢いらっしゃったようです。今回の騒動をきっかけに、朝日新聞の購読中止と広告掲載の禁止を全社員に通告しました。

 BPOは、NHKと地上波の民放テレビ局(民放連)から選任された委員で構成されていますが、普段NHKや地上波の民放テレビを見ていて何かを感じませんか。昔とは明らかに違って、どの局も左傾化、朝鮮化しています

 TBS系『サンデーモーニング』が最も分かりやすいと思いますが、出演するコメンテーターの発言や放送内容はいずれも反日、反安倍を貫いており、徹底した左寄りの番組です。他の放送局もここまで見え見えの極端さはないにしても、内容的にはどれも五十歩百歩に過ぎません。NHKはさすがに国民の税金で支えられているだけあって、見え透いたやり方は避け、巧みにカモフラージュしていますが、やはり左傾化は隠しようがありません

 今、多くの番組で東大や早稲田大出身の教授、在日帰化人のジャーナリストや文化人、一見性別不明の左翼芸能人らが特に珍重されているようです私が在日帰化人の問題に触れると、すぐに「へイトだ」「差別発言だ」と言われますが、私は決して差別主義者でもレイシストでもありません。

?事実、DHCには国内だけでも約3千人の従業員がいますが、その中には少なくとも100人以上の帰化人が在籍しているものと思われます。7人いる役員のうち2人は帰化人です。社員も役員もまったく差別はしていません。みんな日本が大好きで、楽しく懸命に働いています。

 今、私が最も危倶しているのは、日本の主要分野にあまりにも増えすぎた「反日思想を持つ在日帰化人」のことです。日本人になりきって、日本のためにこれからも頑張ろうという人たちを差別しては絶対にいけません。反日だからダメなのです。日本という国にお世話になっていながら、日本の悪口は言う、日本を貶めることだけに生き甲斐を感じているような在日帰化人は逆に許せません。

 政界、官界、法曹界、マスコミ、実業界、スポーツ界、芸能界には驚くほど多数の在日帰化人がいます。ただ、芸能人やスポーツ選手に反日思想を持った人はほとんどいませんので何の問題もありません。むしろ人を楽しませる芸能性は純粋な日本人より優れていますので適材適所と言えましょう。

?実業界で大企業の創業者の大半は在日帰化人です。私のように純粋な大和民族はその点では珍しい存在かもしれません。この類の実業家は、反日ではありませんが、やはり民族的な性格からか、その貪欲さは半端ではありません。昔からの人情味あふれた小売店が全国から消えていったのは、率直に言ってこの人たちのせいだと思っています。

 政界、法曹界は特に在日帰化人が多いことで知られています。日本の全弁護士が所属している日弁連という団体がありますが、みなさんぜひ一度調べてみてください。本稿ではあえて触れませんが、驚くべきことが分かります。

 さて、表面的には政界の在日帰化人が最も目立ちますが、彼らはいやしくも国権の最高責任者であり、選挙によって選ばれた国民の代表者ですから、誰も文句を言う資格はないのです。何と言おうと国民が選んだわけですから。そもそも在日帰化人に、国会議員になれる資格を与えていいのかという問題もありますが、現行法で許されている限り、甘んじて受け入れざるを得ません。

?それにしても、昔の民主党(今の立憲民主党、民進党、希望の党)のような政党に再び政権を取られることがあったら、この美しい国、日本は完全に終わりを告げるでしょう。とはいえ、国会議員はどんな人柄であろうと、どんな出自であろうと、何万人という有権者から選ばれた人たちですので、好き嫌いはあっても尊敬の対象にせざるを得ません。

 それとは異なり、筆記試験に受かっただけの裁判官や弁護士はどうでしょうか。原発再稼働の問題等、国の将来を左右する大きな問題を一裁判官の裁量で決めることができる。しかも、その決定に国民は黙って従う。ここに誰も疑問を感じないのでしょうか。国益にかかわる問題は本来、国民の代表である国会議員が決めることではないでしょうか。

 裁判官は仕事をしている過程で多少なりとも人格形成がなされていくのでしょうが、弁護士に至っては、もともと世間知らずだった人が世俗にまみれ、どんどん劣化していると思うことがあります。官僚もそうですが、試験に受かるために勉強ばかりしてきたということは、その分若いときに人間として最も大切な他人を思いやる気持ちが欠落していたり、交友関係を通しての人間形成が醸成されていない人もいるのではないでしょうか。合格と同時に出来損ないの一丁上がりということです。

?  ただ、官僚にも在日帰化人は大勢いても、反日思想を持った人は少ないようです。彼らのほとんどが東大法学部出身ですが、最近の劣化ぶりは話題になった文部科学省の前川喜平前次官や、厚生労働省東京労働局の勝田智明前局長らの上から目線の態度を見てもよく分かります。

 公僕というには程遠いと言わざるを得ません。「東大法学部を出ているから一番偉い」と勘違いしているのでしょうね。私は以前から東大と官僚が日本をダメにしていると言い続けていますが、もういい加減分かってもらいたいと思います。

 東大出になぜ在日コリアンが多いのかというのには理由があります。韓国の受験戦争は半端ではなく、仮に最高学府を卒業できても、上流階級出身かコネクションがない限り、一流企業には就職できません。これはよく知られた事実です。その点、日本では勉強して東大に合格さえすれば、どんな一流企業でも就職は思いのままです。

 もし司法試験に受かれば、長官にも次官にもなれます。だから、親は子供のために日本に帰化し、子供を東大に入れるために猛勉強をさせるのです。

 では、もし東大に落ちたら彼らはどうするか。ほとんどが早大へ行きます。その中から日本を忌避する学生は、やがて学生運動にはまり、左翼活動家へと変貌していくのです。学生運動家は卒業時、左翼系マスコミしか拾ってくれませんので、こうやってマスコミと在日コリアンは切っても切れない縁になっていくというわけです。

さて、放送法第四条についてですが、これは当然、即刻撤廃すべきです。BPOが第四条に準拠して『ニュース女子』を断罪したというのなら、TBSやテレ朝はもっと昔から何百回も断罪されるべきでしょう。彼らは、政治的には全く公平ではないし、報道は事実を曲げまくっている。これだけでも第四条に抵触しているではありませんか。こんな第四条は何の役にも立たないばかりか、日本に害をもたらすだけです。

「第四条を撤廃したら、テレビが政治的に中立を保てないのではないか」と主張する人がいるようですが、バカも休み休み言えと言いたい。今、どのテレビ局が政治的に中立を保っているというのか。安倍さんも「働くな改革」とか「仕事放り出せフライデー」みたいな奇妙な法案を時々考え出しますが、この放送法第四条撤廃はよくぞ思いついたと思います。これにはもろ手を挙げて大賛成です。

 事実、日本には保守派寄りのテレビ局どころか中立のテレビ局さえ皆無です。NHKでさえ中立ではありません。こんないびつな状態は先進国として異常だと言わざるを得ません。

? それでも、明るい話題だってあります。最近ネットでは、多くの若い人たちが「今のテレビ報道はおかしい」「嘘が多すぎる」と思い始めているようです。特に「ミレニアル世代(2000年代初頭に成年期を迎えた世代)」と呼ばれる人たちは、進んで人助けをし、苦しいことを自ら背負ってやろうという気概を持った、今までに見たことのない稀有な世代です。

 彼らは明治以降、初めて登場する輝かしい新人類です。私は彼らに日本の将来を託し期待しようと思っています。彼らが40代、50代になったら、世界に類のない素晴らしい日本人として成長しているはずです。もちろん、その頃には今の地上波テレビ局の大半は、この世に存在していないでしょう。

 最後に、なぜ私が在日帰化人に危惧しているのか、という話をします。日本人は姿形だけ見ると中国人や韓国人に似ているので、日本人のルーツは朝鮮半島を渡ってきた渡来人だと思われがちです。

 ところが最近、遺伝子の研究により、日本人は彼らとは全く関係のない民族だということが分かってきました。縄文人の遺伝子を解析したら、他のアジア人とはまるで違う人種であったというのです。日本人の祖先は、約2万年前にシベリアから、陸続きだった北海道を経由し、日本列島に広まっていったのです。

? 多少は南方や朝鮮半島から来た移民もいたようですが、その数は取るに足らないほどで、圧倒的多数がシベリアから南下してきたようです。アジアの中でも唯一日本人だけがヨーロッパ人に近い民族だったというのです顔は似ていても、どうして中国人や韓国人とはこうも違うのだろうと思っていたことが、ここへきてやっと氷解しました。

 見えない絶対的な力を仮に「神様」と称すれば、神様の考えていることはただーつ「種族維持本能を生きとし生けるものに与える」ということだと思います。これは犬に例えるなら、コリー犬はコリー犬だし、ブルドックはずっとブルドックです。何百年たっても見分けがつかないような犬にはなりません。

 我々は全くの異人種である韓国人と仲良くすることはあっても、そして多少は移民として受け入れることはあっても、決して大量にこの国に入れてはいけないのです。ましてや、政権やメディアを彼らに牛耳られることは絶対に避けなければなりません。

(2018年5月18日)

「南北之塔」よ、何を見てきたか。いま何を思って建っているのか。

5月10日。旧友と糸満市真栄平の「南北之塔」を初めて訪れた。同行の小村滋君から事前の説明を受けるまで、この塔の存在自体を知らなかった。地元の人も、よく知らない。グーグルにも載っていない。この塔にたどり着くまでが一苦労だった。道を間違えつつ、ようやく小高い丘の上に見つけた。あまり人の来るところではない。

小村君の説明の大要は以下のようなものだった。

「アイヌと沖縄の住民が協力して造った塔。遺骨は、必ずしもアイヌと地元住民というわけでない。沖縄戦の時、真栄平の地元民と仲良くなった1人のアイヌが戦後しばらくして再訪し、遺骨収集地に塔を建てる資金を提供し、その後幾たびも訪問してアイヌの先祖供養であるイチャルパをしている。」

沖縄戦の県別戦死者数では、地元沖縄を除くと北海道が群を抜いて多数となっている。真栄平地区は沖縄戦激戦地の一つで、地区住民の3分の2近くが戦死し、終戦当時は集落内の各地に遺骨が散乱していたという。北海道民の遺骨も多くあっただろう。私は、本土中央から差別されている僻遠の地としての南の沖縄と、北の北海道の友好の証しと理解した。

塔の左側面に「キムンウタリ」とアイヌ語と思しきカタカナの刻印があった。しかし、同じ場所に「捜索24聯隊慰霊之塔」が建立されており、立派な銘文もあったが、こちらにはアイヌは出てこない。ウィキペディアを引用する。出典として何冊かの関係者の書籍が特定されている。

北海道弟子屈町出身のアイヌ文化伝承者、弟子豊治(てしとよじ)は、1944年、旭川第24師団第89連隊に入隊し、満洲経由で沖縄南部に派遣され、八重瀬町与座付近に配置された。軍隊生活の中、近くにある真栄平に出入りし、地域住民と交流を持った。多くの戦友が戦死したものの、弟子は命からがら生き残って北海道に帰った。

1965年、アイヌ古式舞踊公演のため、13人のアイヌによって構成されるアイヌ文化使節団の団長ととして沖縄を訪れた弟子は、真栄平を訪れた。そこでかつて親交のあった地域住民と再会した。

弟子は「キムンウタリ」と書いた木の慰霊碑を建て、アイヌの伝統的な慰霊の儀式、イチャルパを行った。「キムンウタリ(kimun-utari)」とは、「山の・同胞」という意味。弟子が所属していた部隊が通称「山部隊」と呼ばれていたことによる。

弟子は、慰霊塔の建立運動に賛同し、自分もその運動に協力したい旨を申し出、翌年、250ドルの寄付を集めて真栄平を再訪し、その250ドルは慰霊塔の一番上部の石碑に使われた。石碑の北側には弟子の希望で「キムンウタリ」というアイヌ語が彫られた。

沖縄戦で北海道出身の兵士が多数戦死しており、その中にアイヌも数含まれていることから、北海道アイヌ協会が、南北之塔で1981年にイチャルパ(供養祭)を実施し、その後、1985年・1990年・1995年・2000年・2005年にも実施されている。そういった由来から、その他のアイヌ民族関係団体が慰霊祭を実施することがある。アイヌと沖縄の友好のシンボルとして関係者の間ではよく知られている。

以上は、ともに和人から侵略を受け、差別され続けたウチナンチューとアイヌとの友好ないし連帯という「美談」である。が、現実の事情は、やや複雑であるようだ。

北海道新聞2009年2月20日夕刊1面に、「沖縄戦アイヌ民族元兵士と地元住民が建立 『南北之塔』偏見に揺れる 一部でイチャルパに異論」という記事があるそうだ。とあるブログを通じての孫引きだが、次のような内容。

南北之塔は、「道内出身者が中心の第24師団(通称・山部隊)」に所属した、アイヌ民族元兵士で故人の弟子豊治さんと、糸満市真栄平の住民が、66年、戦争犠牲者の遺骨を集めた納骨堂とともに建立した慰霊碑。

北海道ウタリ協会によれば、「沖縄戦で戦死したアイヌ民族は43人(判明分)。真栄平にその遺骨が納められているかは不明だが、同協会は81年からほぼ5年置きに南北之塔でイチャルパ(供養祭)を催し、別のグループも行っている。

真栄平の一部住民で組織する『南北の塔を考える会』が、塔とアイヌ民族とのかかわりを記した本の著者に訂正を要求。イチャルパを妨害して同会が慰霊碑への道を封鎖したこともある。

地元「考える会」の代表者は、「南北之塔が『アイヌの墓』と言われるのが許せない。北海道出身の沖縄戦戦没者の慰霊碑はほかにある。遺族はそちらに行けばよい」と言っているとか。

道新の記事は、こうした妨害を、「ごく一部の住民のアイヌ民族に対するレイシズムによるもの」としているという。本土が沖縄を差別し、その沖縄がさらにアイヌを差別したということなのだろうか。とすれば、まことに悲しい。

南北之塔よ、何を見てきたか。何を考えているか。そして、何を語りたいのか。黙せず、語ってみよ。
(2018年5月17日)

和魂となりてしづもるおくつきの み床の上をわたる潮風

5月10日、沖縄戦の南部戦跡を訪ねた。これまでも何度か訪れてはいるが、そのたびに心が痛む。

最初に訪れたのは復帰前。学生のころに、このあたりを時間をかけて歩いたことがある。魂魄之塔が最も印象に深かった。
「糸満市米須の海岸近くにある沖縄戦戦没者の塔。戦後、同地に収容された真和志村民が散在する遺骨を集め、1946年2月に建立された。約3万5000柱を祭っていたが、その後国立沖縄戦没者墓苑に転骨された。設置管理者は県遺族連合会。」(琉球新報の解説)

その塔に隣接して歌碑があることに、今回はじめて気が付いた。

「和魂となりてしづもるおくつきの み床の上をわたる潮風」翁長助静詠

和魂は「にぎたま」。荒ぶる魂ではなく、安らかな死者のたましいという意味であろう。「おくつき」は奥津城、墓所のこと。この奥津城で、「み床の上をわたる潮風」を感じつつこの歌に接すれば、霊魂の存在を信じない私とて、「にぎたまよ、しずもりたまえ」と願わずにはおられない。

翁長助静は戦前は小学校長で、戦後那覇と合併以前の真和志市市長となった人。原神青醉の名で歌人としても知られる。現知事翁長雄志の父君である。

この人が、沖縄戦の模様について、次のような一文を残している。

(略)師範学校で編成した鉄血勤皇隊千早隊の十数人を部下とする情報宣伝部長が私の役目。翼賛会での私は国民服に戦闘帽、日本刀のいでたち。(略)途中、当時那覇署長をしておられた具志堅宗精氏、山川泰邦署僚などが、兼城の墓の中で署員の指揮をとっており、いまのひめゆりの塔近くでは金城増太郎三和村長が墓地に避難している。こうした人たちに「ここは戦場になるから早く避難して方がいい」と指示したが、行政も警察ももはや指揮系統はめちゃくちゃの状態。そんな所に妹の夫、国吉真政君と出会ったところ「負け戦にになっているのに親を放ったらかして何をしている」という。早速付近をうろうろしている父を見つけ、その日はヤギ小屋で一泊。翌日夕方摩文仁に移動しながら喜屋武岬近くで簡単な壕をつくって小休止。このとき突然米軍の砲撃を受け、目前で父助信が戦死した。同じ壕にいた十数人の避難民のなかで、父だけに破片が命中したのだから悲運としか言いようがない。日本の勝利を信じ命をかけて行動した私にも敗戦思想が強まってきた。敗残兵が住民を壕から追い出し、食糧を奪い取る光景も何度も見てきている。→沖縄タイムス社『私の戦後史 第5集』「翁長助静」

なるほど。この歌には、自分の父への鎮魂の思いも込められているのだ。
そして、「日本の勝利を信じ命をかけて行動した私にも敗戦思想が強まってきた。敗残兵が住民を壕から追い出し、食糧を奪い取る光景も何度も見てきている」と言っていることが興味深い。父の死よりは、「兵が住民を壕から追い出し、食糧を奪い取る光景」こそが、日本必勝の精神を崩壊させたというのだ。

この思いが、沖縄の人々の戦後の原点であったろう。とりわけ翁長助静において、また翁長雄志においても。
(2018年5月16日)

沖縄本土復帰46周年ー沖縄タイムスの怒りの社説紹介

5月15日。1972年のこの日、米軍統治下にあった沖縄の施政権が日本に返還された。沖縄が本土に復帰して、あれから46年となった。

「核抜き・本土並み」が米日両政府の建前であった。県民の願いは、「基地のない平和の島としての復帰」と表現された。基地に囲まれ、核の脅威にさらされ、戦争と隣り合わせの沖縄から、平和・人権・地方自治が重んじられるはずの本土への復帰である。それが、46年前の5月15日に実現した、…はずだった。

法的には、沖縄の本土復帰は、沖縄への日本国憲法の全面施行を意味する。であればこそ、平和・人権・地方自治の実現への高い期待があった。ところが、既に当時、日本国憲法体系が大きく安保法体系に虫食いされて多くの空洞を抱えた状態にあった。だから、沖縄の本土復帰は、県民が思い描いた日本国憲法体系への復帰ではなく、安保法体系によって虫食い状態となった憲法の適用を余儀なくされたのだ。

しかも、時の佐藤政権はいざというときの沖縄への核持ち込みの密約を結び、「核抜き」については誰もが不信と不安を持っての本土復帰だった。

凄惨な地上戦を経て、戦後も苛酷な米の軍政下におかれた沖縄が反米であることはよく分かる。アメリカの支配からの脱出を望んだことは当然であった。しかし、戦前本土によって差別され、本土温存の捨て石とされた沖縄が、なぜかくも熱意をもって、「本土復帰」を願ったのか、理解は必ずしも容易ではない。復帰運動のシンボルが「日の丸」であったことにも違和感を禁じえない。日本国憲法と「日の丸」、私の心裡では整合しない。

進藤栄一が、天皇(裕仁)の沖縄メッセージの存在を米国公文書館で発見して公表したのは復帰後5年を経た79年であった。もし、復帰以前にこの天皇の身勝手な酷薄が明らかになっていたら、「日の丸」が復帰運動のシンボルになっていなかったのではないか。

それでも、本土復帰が実現して46年が経った。果たして、復帰実現前に願った沖縄となったであろうか。本日(5月15日)の沖縄タイムスの社説を詠みやすいように組み替えて、引用したい。本土政権への沖縄の怒りが厳しく表現されている。

「復帰後生まれの人口が過半数を占め、米軍基地の形成過程を知らない人が多くなった。沖縄に基地が集中するようになったのはなぜなのか。

米軍普天間飛行場のように、
《沖縄戦で住民らが収容所に入れられている間に米軍が土地を接収し基地を建設》したり、
《本土から米軍が移転してきた》りしたケースがある。
共通しているのは日本政府が基地建設や米軍移転を積極的に容認していることだ。

在沖米軍の主力で、兵力の6割、面積の7割を占める海兵隊はもともと沖縄に存在していたわけではない。1950年代に反基地感情が高まった岐阜や山梨・静岡から米軍統治下の沖縄に移転してきたのが実態だ。

復帰後本土では基地が減ったが、沖縄の基地はほとんど変わらなかった。その結果、国土の0・6%を占めるにすぎない沖縄に米軍専用施設の7割が集中する過重負担の構造が出来上がったのである。

日米の軍事専門家らが認めているように、海兵隊が沖縄に駐留しているのは
《軍事的合理性》からではなく、
《政治的理由》からである。

クリントン米政権下で駐日米大使を務めたモンデール元副大統領が普天間の返還交渉で、1995年の少女暴行事件で米側は海兵隊の撤退も視野に入れていたが、日本側が沖縄への駐留継続を望んだと証言している。引き留めるのはいつも日本政府である。

橋本政権下で官房長官を務めた梶山静六氏が98年、本土での反対運動を懸念し普天間の移設先は名護市辺野古以外ないと書簡に記している。本土の反発を恐れ沖縄に押し付ける論理である。

屋良朝苗主席は復帰前年の71年、「復帰措置に関する建議書」で「従来の沖縄はあまりにも国家権力や基地権力の犠牲となり手段となって利用され過ぎてきた」と指摘している。46年後の現在も何も変わっていない。

辺野古新基地ができてしまえば、半永久的に残る。普天間にはない強襲揚陸艦が接岸できる岸壁や弾薬搭載エリアが計画され、負担軽減とは逆行する。米軍の排他的管理権によって国内法が及ばない基地ができるのである。

 基地が集中する沖縄で、生物多様性豊かな宝の海を埋め立て、基地を建設するのは明らかな禁じ手だ。

 北朝鮮情勢が劇的に動き始めている。日本政府は東アジア情勢を俯瞰する大局観をもって、辺野古新基地建設をいったん止め、海兵隊や不平等な日米地位協定の在り方を問い返す機会にすべきである。」

同感、おっしゃるとおり、というほかはない。
(2018年5月15日)

月とスッポン ― 徳ゆえに王に推戴された尚円と、不徳を批判されながら政権にしがみつくアベ晋三と。

もしもし、前島の船員会館は、この方向でよろしいのでしょうか。

ああ、先ほど「りっかりっか湯」にいらっしゃった方ですね。この道を真っ直ぐに行って15分足らずですよ。私も同じ方向ですから、ご一緒しましょう。

助かりました。那覇にお住まいの方ですか。

いえ、私は伊是名島から建築現場への出張で、近くのホテルに宿泊中です。

ほう、伊是名ですか。あの辺の島は、一つ置きに、ハブのいる島、いない島とならんでいるそうですが、伊是名はハブのいる島ですか。いない島ですか。

不思議なことに、伊平屋島、伊江島にはハブがいるのですが、伊是名島にはハブはいません。よいところですよ。一度、いらっしゃるとよい。

何が伊是名の見どころなんでしようか。

自然も美しいですが、伊是名は歴史の島です。第2尚氏と言ってお分かりでしょうか。その初代尚円王の出身地で、ゆかりの史跡がたくさん残っています。

にわか勉強で教わりました。三山を統一して首里王朝を建てた尚氏は7代で亡んで、血筋のつながっていない第2尚氏が明治政府の琉球処分・廃藩置県まで19代も続いたとか。

そうなんです。その第2尚氏の初代が、元は伊是名島の百姓だったんですよ。百姓から琉球の王様になって、百姓の気持が分かるからよい政治をしてくれたと言われています。

どうしてまた、農民が王様に?

王になる前は、金丸という名前でした。評判の働き者だったそうです。でも、あんまり彼の田ばかりが稔るので、周りからやっかまれて島を逃げ出したんですね。そして、彼が首里で出会って仕えた人が後の6代目尚泰久王だった。金丸は、この王に重んじられて、王の片腕と信頼されたそうです。

なるほど。で、クーデターで、王を倒したということですか。

伊是名島では、そうは言われていません。尚泰久王がなくなってあとを嗣いだのが7代の尚徳王ですが、これが暴君で百姓を顧みない。金丸は諫めたが、王は聞く耳を持たない。それで、あきらめて隠居したと言われています。

第1尚氏最後の尚徳王は殺害されたのではありませんか。金丸は暴君殺害に関与していない?

島では、金丸は先王の殺害とは無関係と言い伝えられています。自分では王位を望まなかったのですが、周囲がその徳を慕ってぜひ王位にと声を上げたので、推されて王位に就いたということです。

なるほど。画に描いたような易姓革命。農民の出自であろうとも、徳があってよい政治をしてくれる人だから王にふさわしいとみんなが認めたわけだ。

そのとおりです。6代目尚泰久が評判のよい王様でしたが、それは金丸のお陰でもあったのです。だからみんなが金丸を説得して王様になってもらった。同時に、尚氏の血統は王位から外されました。

へえ。不祥事を重ね、政治の私物化を批判されながら政権にしがみついているアベなんぞとは真逆なんですね。それにしても、血筋のつながりないのに、どうして金丸が尚氏を名乗ったのでしょうか。

これも金丸が望んでしたことではなく、明から冊封を受けているため、やむなく尚氏を名乗らざるを得なかったということです。

金丸は、15世紀の人ですね。いまだに、人気があるんですか。

伊是名島は金丸を生んだ土地であることを誇りにしています。なにしろ、百姓から出た、百姓の気持ちの分かる王様ですからね。島にはその史跡がたくさん残っています。

なるほど、庶民から出た政治家と、2代目3代目の世襲政治家との違いみたいなものでしょうかね。この点もアベなんぞと真反対。

もう船員会館の近くまで来ました。この先の四つ角のすぐ右側ですよ。私はここで失礼します。

いつか伊是名に行ってみますよ。ありがとうございました。
(2018年5月14日)

ネトウヨ集団の弁護士懲戒請求運動に、きっちり責任をとらせよう

一昨日(5月11日)の毎日新聞朝刊「ネットウオッチ」欄に、「懲戒請求被害の弁護士 広がる対抗措置の動き (ネトウヨに対して)損害賠償求め提訴へ/請求側(ネトウヨ)は動揺」との記事。(括弧内は澤藤の挿入、以下同)

朝鮮学校への補助金交付は利敵行為??などとするネット上での扇動を背景に(ネトウヨから)大量の懲戒請求を送られた弁護士たちの間で、懲戒請求者(ネトウヨ)に対し、損害賠償請求や刑事告訴など法的措置をとる動きが広がっている。これを恐れ、弁護士に和解金10万円を支払って謝罪する請求者(ネトウヨ)も出ている。ネット空間の無責任な言説にあおられた軽率な行動が、実社会で法的制裁を受けようとしている。

この「《ネット空間》の無責任な言説にあおられた軽率な行動が、《実社会》で法的制裁を受けようとしている」という指摘が的確で印象的である。ネトウヨ諸君には現実感覚が乏しいようだ。バーチャルな《ネット空間》と、リアルな《実社会での法的制裁》の結び付きについての認識が希薄で、クリック一つが高くつくことへの警戒心がなく、あとで仰天することになる。

このことは、弁護士に対する不当懲戒請求に限らない。ネトウヨが寄り集まっての集団提訴や集団告発、あるいはヘイトデモ参加についても同様である。最終的には、違法な行為の責任は個人が、損害賠償という形で負わねばならない。それこそが、アベの大好きな「自己責任」なのだ。煽動に乗せられただけ、単に記事を転送しただけ、後ろにくっついて行っただけ、などは免責理由とならない。

なお、毎日が言う「無責任な言説にあおられた軽率な行動」とは、「余命三年時事日記」なるブログの煽動にうかうか乗せられたことを指す。このブログが、テンプレートをつくっての書き込みを誘っていた。当の「余命三年時事日記」を主宰する者の氏名住所は現時点では未特定。自分は闇に隠れて、人を裏から煽動しているわけだ。私もこのブログに目を通してみた。どうして、こんな低劣な煽動に乗せられる者が続出するのだろうか。詐欺まがい悪徳商法の被害者についても同じ思いだが、まことに不思議でならない。

もちろん、ネトウヨ諸君にも表現の自由はある。しかし、事実無根の主張によって人の名誉を毀損する自由は誰にもない。民族や国籍による差別言動も許されない。ネトウヨ諸君よ。もし、表現の自由を謳歌しようというなら、匿名に隠れることなく堂々と顕名で論争するがよかろう。

毎日新聞の同記事によれば、佐々木亮・北周士の両弁護士が、全懲戒請求者に損害賠償請求訴訟を起こす予定で、虚偽告訴や業務妨害での刑事告訴も検討するという。懲戒請求の全件数は約3000件だそうだから、3000人を被告とする訴訟となる。もっとも、管轄は損害賠償債務の履行地でよいから、全国のすべての被告に対する請求が一通の訴状で、東京地裁に提訴が可能だ。

毎日の記事は、こうも伝えている。

?ある(ネット上の)掲示板には懲戒請求者とみられる人物が「(ネット情報で)俺の連絡先が通知されないと信じて請求した。(扇動者に)裏切られた」「裁判とめるにはどうしたらよいのか」などと不安を書き込んでいる。

佐々木弁護士らは、訴訟前に和解する条件として、明確な謝罪や慰謝料10万円(両弁護士分合計)の支払いなどを求め、すでに応じた請求者もいる。懲戒請求では請求者の実名や住所が当該弁護士に伝えられる。佐々木弁護士は「匿名で請求できると勘違いしている人もいるようだ。素直に謝ってきた人もいた。軽い気持ちでやったという印象を受けた」と話す。

佐々木亮・北周士の両弁護士は、まずは事前の和解を推進する方針で、5月16日に記者会見の予定という。その後塵を拝することなく、榊原元弁護士が5月9日に、東京地裁に提訴した。
以下は、当日の彼のツィート。

朝鮮学校への補助金などを巡って弁護士に対して大量の懲戒請求がなされた件、不当な懲戒請求による損害賠償金の支払いを求め、本日、東京地方裁判所等に訴訟を提起した。現時点で被告は未だごく一部であるが、訴訟前に和解が成立した方を除き、最終的には請求者全員に裁判所までお越し頂きたいと思う。

その後のツィートで彼の基本認識が以下のように語られている。

弁護士に対する大量懲戒請求事件の件。確かに我々個々の弁護士は被害者だ。しかし、本当に攻撃されているのは弁護士会であり、弁護士自治である。さらにいうと、本件は在日コリアンを差別するという動機でなされたヘイトクライムである点を看過してはならない。究極的な被害者は在日コリアンなのである

たかがネットに煽られて弁護士に大量の懲戒請求をしたり、在日コリアンを入管に大量通報したり、検察庁に大量告発したりする日本人が、新聞に煽られたら朝鮮人虐殺をしないはずがない。
何度も言うが、大量懲戒請求事件はヘイトクライムである。ヘイトクライム防止につながる解決でなければならない。

神原弁護士のこの訴状は見ていない。弁護士ドットコムによれば大要以下のとおり。

訴状によると、被告(懲戒請求のネトウヨ)は2017年6月、神奈川県弁護士会に対して、神原弁護士ら複数の弁護士を対象として、弁護士法に基づく懲戒請求をおこなった。同弁護士会綱紀委員会は2018年4月、神原弁護士らを懲戒しないと判断した。

懲戒理由として、「違法である朝鮮学校補助金支給要求声明に賛同し、その活動を推進する行為は、日弁連のみならず当会(神奈川県弁護士会)でも積極的に行われている二重、三重の確信的犯罪行為である」などと書かれていたという。

原告(神原弁護士)は「少なくとも朝鮮学校補助金要求に関連して違法行為をした事実はまったくない」「存在しない事実について、あえて懲戒請求を申し立てていたことが明らかだ」としている。現時点で、被告数や請求額などは明らかにされていない。

そして同記事は次のようにまとめている。

最高裁の判例では、事実上または法律上の根拠を欠く場合において、請求者がそのことを知りながら、または普通の注意を払えば知りえたのに、あえて懲戒請求していれば不法行為にあたる、とされている。日弁連によると、2017年だけで組織的な懲戒請求は約13万件あり、その多くが問題のブログに起因するものとみられる。

当ブログも、このことについては、何度か論及してきた。ぜひ、ご参照いただきたい。
民族差別主義者らの「弁護士懲戒請求の濫用」に歯止めを
https://article9.jp/wordpress/?p=9724
(2018年1月5日)?

安易な弁護士懲戒請求は、損害賠償請求の対象となる。
https://article9.jp/wordpress/?p=9311
(2017年10月12日)

さて、懲戒濫用に対抗の武器となる最高裁判例(平成19年4月24日・三小)の当該部分を再確認しておこう。

「…懲戒請求を受けた弁護士は、根拠のない請求により名誉、信用等を不当に侵害されるおそれがあり、また、その弁明を余儀なくされる負担を負うことになる。そして、同項が、請求者に対し恣意的な請求を許容したり、広く免責を与えたりする趣旨の規定でないことは明らかであるから、同項に基づく請求をする者は、懲戒請求を受ける対象者の利益が不当に侵害されることがないように、対象者に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査、検討をすべき義務を負うものというべきである。そうすると、同項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において、請求者が、そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求するなど、懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには、違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解するのが相当である。」

つまり、「通常人としての普通の注意を払うことなく」軽々に弁護士懲戒請求をすれば、不法行為として損害賠償請求されることを覚悟しなければならないのだ。

しかも、当然のことながら、懲戒請求は請求者の住所氏名を明記しなければ、受け付けられない。うかうか、扇動に乗せられると、ある日、裁判所から損害賠償請求の訴状が届くことになる。よく考えるべきなのだ。ネトウヨ諸君。
(2018年5月13日)

柳瀬唯夫答弁に市民の声。「嘘」つくな。「偽」るな。きみらは「膿」だ。「怒」っているぞ。

沖縄の旅を終え、日常生活に戻った。本日(5月12日)午後、文京区民センターでの稲嶺進・前名護市長との「交流の集い」。300人を超える参加者の盛会だった。

主催は「平和委員会」。沖縄の辺野古新基地反対闘争と、全国の反基地・平和運動との連携を目指した集会。稲嶺さんの講演の演題は、「沖縄はあきらめない」という微妙なものだった。「子どもたちの未来のために 辺野古に基地はつくらせません」との副題が付されている。

「沖縄は、琉球処分・廃藩置県後に《大和世(やまとゆー)》となり、敗戦後には《アメリカ世(あめりかゆー)》となりましたが、1972年復帰によって《再びの大和世》になったわけです。『祖国復帰』をスローガンとした県民の真の願いは、平和憲法の日本への復帰でした。しかし、現実は基地付き・核密約付きの復帰でしかありませんでした。それ以来現在まで、沖縄は事実上アメリカと、アメリカ言いなりの本土政府の支配下にあります。県民の願いを無視し、普天間の移設を口実とした辺野古新基地建設強行は、平成の琉球処分ともいうべき暴挙です。…」

稲嶺さんは、「自分は市長ではなくなったが、名護市民の思いが新基地建設反対にあることは明らかなのだから、引き続き基地反対運動には関わっていきます。今は『誇りある名護をつくる会』の代表として、当面は9月の名護市議選に向けての運動に携わっています。」という。

そして、次のように展望を述べた。
「辺野古新基地予定地の海底には活断層もありマヨネーズのような軟弱地盤もあることが明確になってきています。もうすぐ、翁長知事の健康状態も回復し、近いうちに、仲井眞知事がした国に対する埋立承認の撤回がなされるはずで、大きな盛り上がりの中で11月の知事選を迎えることになります」「また、大浦湾沿岸の13字(あざ)にまたがる『名護市東海岸漁業協同組合』の設立と漁業権の設定が認可される見通しで、地元漁業を守る見地からの新たな埋立工事阻止の運動にも法的措置にも期待されるところです」

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ところで、今年3月の佐川宣寿証人喚問のときには韓国旅行の最中だった。今度は5月の沖縄旅行中に、柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致。佐川の証言もひどかったが、柳瀬の答弁は輪をかけてひどい。偽証は見え見えのバレバレではないか。以下の川柳が笑い飛ばしているとおりではないか。素晴らしい出来栄え。川柳子には、素晴らしい素材なのだ。

東京新聞(12日)。
 官僚は記憶戻すに許可が要り(所沢 ?橋馨)

朝日川柳(12日)。
 えんま様舌を抜かずに舌を巻く(岩手県 小林晴男)
 真相をバーベキューの煙(けむ)に巻き(岐阜県 清水朋文)

同(5月5日)。
 調整がつけば記憶を取り戻し(東京都 安達雅夫)
 知らなんだ事実は調整するものと(三重県 日江井敦子)
 調整が済んで出演猿芝居(群馬県 細堀勉)

読売時事川柳(12日)にも。
 忖度をするほど落ちる記憶力(新宿区 藤吉尚之)

また、東京新聞2面に「自民党前 抗議デモ 本部や神奈川など一斉に」の記事。

何より写真がよい。自民党本部前での抗議デモの参加者の掲げるプラカードの大きな文字が怒っている。「怒」「膿」「嘘」「偽」「うそをつくな」「責任をとれ」…。
ここまでいわれる政権も珍しかろうが、これだけ撃たれてもまだ権力にしがみついている破廉恥に首相も珍しい。記事は以下のとおり。

安倍政権を支える与党自民党に「市民の怒りを見せつけよう」と、会員制交流サイト(SNS)で呼びかけた全国一斉の抗議行動が十一日、東京都千代田区の自民党本部前などであった。神奈川や千葉、埼玉など各地の党事務所前に広がり、参加者らは「安倍政権は今すぐ退陣を」などと声を合わせた。
党本部前では五百人超が集まり、「怒」「膿(うみ)」「嘘(うそ)」などと書かれたプラカードを掲げた。

呼び掛け人の会社員、日下部将之さん(43)が「力任せの国会運営、不誠実な答弁などの問題がありながらも、総理大臣が責任を取らない。一番の問題は安倍内閣を支える自民党だ」と訴えた。

仕事帰りに参加した豊島区の女性会社員(48)は「もう耐えられない。自民党は今の首相・総裁が一番ふさわしいと思うくらい、人材がいないのか」と語った。

党千葉県連(千葉市中央区)前での抗議に参加した、千葉県市川市の片岡良男さん(53)は「言い訳ばかりで、自浄能力のない安倍政権はすぐに退陣してほしい」と話していた。

そして、東京新聞1面トップは、「首相会食受け柳瀬氏助言 加計側に学部新設対応策」。既報の記事の蒸し返しではない。新たなニュースソースによる記事。これはニュースソースとなった「政府関係者」に注目せざるを得ない。

学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部開設を巡り2015年4月、学園や愛媛県幹部らが柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会した際、学園側出席者が「安倍晋三首相と加計孝太郎学園理事長が会食した際、『下村博文文部科学相(当時)が、加計学園は課題への回答もなくけしからんといっている』との発言があった」という趣旨の説明をしたことが、政府関係者の証言で分かった。この発言を受け、柳瀬氏は「課題への取り組み状況を文科省に説明するのがよい」と、学園側に助言したという。

政府関係者によると、学園関係者が「(下村氏の指摘への)対応策について意見を求めた」ところ、柳瀬氏が「今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよい」とアドバイスしたとされる。こうしたやりとりは、県文書に記載されているが、発言者が明示されていなかった。

柳瀬氏は参考人質疑で、15年2月から6月の間に加計学園関係者らと首相官邸で3回面会したと認め、国家戦略特区での獣医学部開設を協議したと明らかにした。しかし、4月の面会の際、安倍首相と加計理事長の会食が話題になったことを「記憶がない」とし、自身の助言についても「私がそういう発言をしたという覚えもない」と述べた。

安倍首相は昨年7月の国会で、学園の学部開設を知ったのは「(学園が事業者に正式決定した)17年1月20日」と答弁している。

この記事は、加計孝太郎の証人喚問が必須であることを再確認させてくれる。そして、おそらくは、加計孝太郎の証人喚問の実施がアベ政権の終焉となることも。

(2018年5月12日)

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