澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

宇都宮健児君、立候補はおやめなさい?その4

本日は「だ・ま・し・う・ち」の顛末をお伝えします。
私が、宇都宮君を見限った最後の決定打が、このだまし討ちでした。私は、宇都宮君をこのような姑息な小細工のできる人物とは思っていませんでした。優れた人物であるかどうかはともかく、少なくとも汚いやり口とは無縁の人と思っていたのです。その人格への信頼が崩壊した経過です。

猪瀬退陣が確定した12月19日(木)の午後5時28分に、以下のメールが届きました。発信人は、「人にやさしい東京をつくる会」の熊谷伸一郎事務局長(岩波書店勤務)です。その全文を掲載します。

皆様 まことにご無沙汰しております。
「人にやさしい東京をつくる会」の運営会議メンバーの皆様にお送りしております。
宇都宮先生と中山先生より、会議招集の要請がありましたので、ご連絡を差し上げます。
ご存知の通り、猪瀬知事の辞任という事態を受けまして、会としての対応を緊急に話しあうため、下記の運営会議を緊急に開催したいと存じます。遅い時間になってしまい、恐縮です。
前回の運営会議で、今後の取り扱いについては宇都宮先生と中山先生に一任するということになっておりました。この会議は宇都宮先生と中山先生からの招集ということになります。
ご出席できない方は、恐縮ですが、どなたかに委任のご連絡をお願い致します。
日時:2013年12月20日(金) 午後9時?
場所:東京市民法律事務所
【議題】・新しい情勢にあわせた取り組みについて
なにとぞよろしくお願いいたします。

私には、事前に議題についての意見の打診も、日程の都合の問い合わせもありません。夕方のメールで、翌日午後9時からの会議の設定です。しかも、はじめての「委任のご連絡」という言及。不自然な感じは拭えませんでしたが、私も運営会議メンバーの一人ですから、招集された会議には出席の義務はあります。さすがに、午後9時には日程差し支えの事情もありません。出席することにはしました。

念のために、会の代表の立場にある中山武敏君に電話をしました。なかなか、電話がつながらなかったのですが、翌日の10時54分に彼から電話をもらいました。電話で聞きたかったことは2点ありました。

その一つは、議題「新しい情勢にあわせた取り組み」に関連しての、発言内容の準備です。「結局今日の会議では、宇都宮君の再出馬の是非をめぐる議論になるんだろうね」と聞いたのですが、中山君は「自分はどのような議事になるかは知らない」と言っていました。会の代表が「知らない」と言うのも不自然なのですが、「宇都宮君は出馬の意向なのか」と聞いたのですが、「宇都宮は推されれば出る、ということだと思うよ」という以上は語りませんでした。私は、今日発言すべき自分の立ち場を明確に伝えておきました。「私は宇都宮君の再出馬には反対だ。前回選挙で彼の非力は明らかではないか。それだけでなく、彼も選対も、法的に大きな傷を抱えている。立候補すれば問題になる」。このことについて、中山君がどれほど深刻に受けとめたかは、よく分かりません。

もう一つ。昨年選挙の最終盤で任務外しをされた二人の随行員の名誉回復措置について、宇都宮君と中山君・上原さんの3名で、どう処置するか預かりになっていたはずだが、その結論はどうなったか、という問題。

これについては、中山君は率直に「自分の力ではどうにもならなかったんだよ」と言っています。解決できなかったことを自分の非力の結果とする、誠実さをみせてはくれました。

その夜。ビルの7階にある市民法律事務所で、午後9時10分ころ、これまでになく議長席にふさわしい場所に宇都宮君が着席して会議が始まった。中山君が議長を務めるのが自然なのだが、同君から「議長はボクじゃなく、宇都宮君にお願いする」との発言があって、宇都宮君が「では、私が議長を務めます」となりました。

ここで、私が、「夜が遅い。私は体調も良くない。ぜひ大事な議題から手際よく議事を進めていただき、11時には終わるようにお願いしたい」と発言し、「分かった」という宇都宮君の答がありました。

そして、宇都宮君が「今日の議題を準備していますので、熊谷事務局長から配布してください」と議長として発言しました。メールでは会議の議題は具体化されていなかったけど、事前に議題を練っていたのだ。そう思いつつ配布された「議案」に、目を通して驚きました。なんということ。

2013年12月20日 人にやさしい東京をつくる会運営会議
議案1:現在の運営会議を本日付で解散すること。
理由:現在の運営会議については、前回2012年の都知事選挙に対する取り組みの終了にともない役割を終えたため、本日をもって解散することとしたい。

議案2:会の新しい協議機関の選任・招集については宇都宮・中山の両氏に一任すること。
理由:議案1の運営会議解散を受けて、新たな協議機関を設ける必要があるが、これについては、宇都宮氏と会代表の中山氏に一任することとしたい。 以上

以下は、専ら、私の発言です。もっとも、発言の順序は必ずしも、正確ではありません。
「何ですか、これは。運営会議委員の全員を解任して、うるさい誰かだけを除いて、仲良しだけを再任しようというのですか」「こんな議題の通知は事前にはなかったではないですか」「こういう汚いやり口を、普通は『だまし討ち』というんじゃないか」「こんなことをたくらんで、私を除いてこっそりみんなあつまって相談したのか」「だいたいがおかしい。都知事選挙に対する取り組みの終了にともない役割を終えたため『会』を解散するというのなら話は分かる。どうして会は存続して、今ごろになって運営会議だけが役割をおえたというのか。どうして、『人にやさしい東京をつくる会』の役割が終わったとは言わないのか」

これに対する応答は、「ともかく議案が提出されているのだから賛否の意見だけを言ってもらえばよい」「あなたは、ほかのメンバーと信頼関係を築けないんだから、袂を分かつのはやむを得ない」というものでした。

なお、一点印象に残っているのは、熊谷事務局長の「運営委員会の解散も、会の解散も同じことですよ」というものだった。もしかするとこの人は、会の解散を決議したものと理解しているのかも知れない。

「恥を知れ」「恥ずかしくないのか」という言葉は呑み込みました。私が、この会から追い出されることが明確になった以上、二人の随行員外し問題については、確認しておかなければなりません。

「この問題の解決方法については、前回会議の終了時点で、中山・宇都宮・上原の三君に預かりとなっていたはずだ。会が解散するかも知れないということだから、その結論を聞かせていただきたい。上原さんは当事者だから意見は聞きません。順序から言えば、まず中山君」。中山君の答は、「私の力では解決できない。どうすることもできない。残念だが、やむを得ないので、双方ともこのまま、相手方を攻撃しないということで、大人の解決をして欲しい」

「で、宇都宮君、君は?」「ぼくも同じですよ」
「大事なことだ。同じなんて言うな。自分の言葉で語れ」
「結局はやむを得ない処置で、選対本部長や事務局長の責任を問うべき事件だったとは思わない」

「そうか。分かった。これまでは君が仲裁に入るということだったから、批判を控えてきた。今後の発言には遠慮をしない」

ここで上原さんからひと言ありました。「事実でないことを言われては困りますよ」「あなたには、求釈明をして、事実確認を求めている。お返事をいただきたい」「返事はしません」

このあたりで、「採決をしましょう」「みんな忙しいんだから」という声があがりました。「採決に反対する。そもそも、こんなことが多数決で決められるのか疑問だ」という私の発言は取りあげられず、

「議案1の賛否を求めます」「賛成」「反対1名で議決が成立しました」
「議案2の賛否を求めます」「賛成」「反対1名で議決が成立しました」

これで終わり。9時40分でした。会議時間は30分余。なるほど、多勢に無勢とはこういうこと。それにしても、これはついこの間、どこかで見た景色。同じことを、やっぱり薄汚い連中がやっていた。

全部終わってから、ようやく見えてきた。そうか、だから委任状が必要だったのか。
「【議題】・新しい情勢にあわせた取り組みについて」と言って招集して、実は「澤藤解任決議」を準備していたのか。中山君が事前の電話で「今日の議事についてはよく知らない」と言ったのは、真っ赤な嘘だったのか。

「澤藤解任」の議案では、解任の理由を特定しなければならない。そんな面倒なことをせずに、うるさい私を解任する方法を考え出したのだ。いかにも、労務屋が考えそうな汚い手口。会社解散ということで全員解雇しておいて、会社に忠誠を誓うものだけを再雇用するあの手口だ。革新共闘で選挙に出馬しようという候補予定者のとるべきやり方ではない。宇都宮君、そしてあの会に出席していた諸君、恥ずかしくないか。

どうして、もっと正々堂々とものが言えないのか。「澤藤の言動は独善的で、協調性に欠ける」というなら、真正面から批判したらいいだろう。もちろん私にも反論の言い分があるが、当たっているところもあるかも知れない。十分な議論を尽くせばよいではないか。

「時間がない。会期延長には応じ難い」として、特定秘密保護法の強行採決をやった安倍自民と同じことを宇都宮君はやったのだ。いや、もっと姑息で、薄汚い「議論封じ」でだ。これは、忌むべき数の暴力ではないか。問答無用で少数者を排除するこのやり方は、国会の保守派以上のひどいやり口ではないか。

宇都宮君よ、君は今、ほくそ笑んでいるだろうか。「うるさい奴をうまく切ってやった」と。しかし、ボクを切った君の薄汚い手口が、君の革新共闘候補としての不適格を雄弁に物語っている。そのことを肝に銘じて欲しい。

だから、宇都宮君、来るべき都知事選に立候補はおやめなさい。
(2013年12月24日)

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Published in 火曜日, 12月 24th, 2013, at 23:54, and filed under 宇都宮君おやめなさい.

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