(2023年2月15日)
昨日、2月14日の「本郷湯島九条の会」・本郷三丁目交差点「かねやす」前での街頭宣伝。まずは、「米軍事戦略に呑み込まれる日本」と題した、石井彰代表世話人の報告。
風が冷たい昼休みのひとときでしたが、13人の参加者で大いに意気あがる、賑やかな街宣となりました。開始前にたくさんのプラスターを道に広げていると、二十歳前後の若者たちが通りかかって、「オレ、戦争なんか行かないもん」。また別の若者は、「オレは自転車に乗って逃げちゃうもん」。わたしたちが、「一緒に戦争に反対しようよ」と声をかけましたが、さて、気持ちが通じたかどうか。
マイクはアメリカの軍事戦略にのって日本が戦争国家になりつつあることを告発しました。岸田首相は昨年末に安全保障3文書を閣儀決定し、今年1月にはバイデン米大統領に会って「敵基地攻撃能力保有」を決めてきたことを告げ、バイデン米大統領に賞賛され、あまつさえ「統合防空ミサイル防衛IAMD」に参加することを約束してしまう始末です。「敵基地攻撃能力」を持たないと「統合防空ミサイル防衛IAMD」に参加できないのです。
さらに軍拡をおこなうための増税、社会保障の削減が始まっていることを訴え、まさに安全保障3文書は軍需産業の基盤強化、軍事分野の官民学の連携強化、空港・港湾・道路などの軍事利用が狙われていることを訴えました。
日本は、何よりもロシアのように侵略する国になってはならない。アメリカの戦争戦略のもとで敵を探して先制攻撃を仕掛ける準備など、けっしてしてはならない。そして、ウクライナのように侵略される国になってもならない。抑止力という名で、軍事的な挑発を繰り返すことの危険を理解しなければならない。
若者を戦争にいかせてはいけない、そのため皆様方とともに戦争させないために力を合わせましょう、そう呼びかけました。4月の統一地方選挙には「戦争する国」にしようとしている政党に投票することを止めましょうと訴えました。
[プラスター]★自民党さん LGBTQなぜ困る?★浮き足立つな、落ちつこう。★反対しよう戦争への道。★トンデモない、軍拡・大増税。★9条の会、迷わず平和路線。★トマホーク、オスプレイいらない、憲法9条と国連強化。★軍事栄えて、福祉、子育て、医療、年金やせる。
最後に私がマイクを取って短く訴えた。
「トルコとシリアの大震災で、多くの人か亡くなっています。人は、互いに殺し合うのではなく、助け合わねばなりません。私たちの国・日本は、戦争国家ではなく、国際協調国家です。人殺しの準備をするのではなく、このようなときこそ命を助ける事業に力を尽くさなければなりません。
私たちの国は、150年前に近代国家の仲間入りをしました。そして、その歴史の前半は、幾つかの内戦を経て対外戦争を繰り返しました。目標は富国強兵。侵略戦争と植民地支配をこととする精強な軍国主義国家を作りあげて、そして亡びました。
戦後は軍国主義の戦前ときっぱり縁を切って、9条を持つ平和国家として生まれ変わりました。以来75年余、私たちの国は曲がりなりにも平和を維持し続けています。今後も、この平和を続けていかねばなりません。平和憲法は、人を殺す準備ではなく、世界中の人々の命を救えと教えています。
戦前は、近隣諸国や西欧先進国に負けない国防国家を作ることが国の備えだと考えました。軍備を拡大すれば、国は安全になると盲信したのです。そして、失敗しました。その高くついた反省から、戦後は平和を望むならば徹底して平和の準備をすることとしたのです。軍拡も、核共有も、日米安保も、集団的自衛権も、平和を壊す危ない橋だと知らねばなりません。政府の言うことを鵜呑みにすることなく、平和について、真剣にお考えください。」
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街宣終了後、主要メンバーが寒さを避けて近所の定食屋「ゆげ」に入って、暖かいカレーうどんなど口にしながら、気分良く話しが弾んだ。いったいいつから、この街宣活動が始まったのかが話題になり、どうやら今年の春で、満10年になるのだと話が落ちついた。
第2期安倍晋三政権発足が2012年12月末。その危険性を13年春に地元の集会で私が喋った。そして、その集会の席上で街宣活動を呼び掛けたことが発端だという。その後しばらくして、毎月第2火曜日のお昼に定まった。これが、みんなの記憶の一致するところ。以来、台風で中止となったことが一回だけ。ずっと続いているのだから、なかなかのもの。近所の人も、近くの交番の警察官も、よく耳を傾けてくれているというのが、自己満足的な甘い評価。
(2023年2月1日)
2月となった。本日は、光の春の趣き。本日の毎日朝刊に、「きさらぎ」の語源を「衣更着」とするのは間違いという。寒さが強調される時季ではなく、むしろ、春に向けて草木が更に生えてくるという意味での「生更木(きさらぎ)」が正しいと述べられている。
「生更木」が正しく「衣更着」は間違いとは何とも不粋な断定。たしかに、季節感には「生更木」が合っているが、それでも長年にわたって馴染んできた「衣更着」は捨てがたい。「正しい」「間違っている」とは、いったいどういうことなのだろう。
これまで長年にわたって馴染んできた「自衛隊違憲論」も、「専守防衛」政策も、今や様変わりした防衛環境下では「間違っている」というのが、新安保三文書の立場。正しいのは、「軍事大国への大転換」であり、「敵基地攻撃能力の保有」である。そのためには「大軍拡・大増税」が不可避だというのだ。とんでもない。戦争への道の押し付けは御免を被る。
そこで、1月末に発刊の「法と民主主義」(2023年2・3月号【576号】)である。ぜひお読みいただきたい。その特集が、「軍事大国への大転換阻止を ― 安保3文書改定をめぐって」である。
この特集は、岸田内閣が強行しようとする防衛戦略を、歴史的に紐解き、その内容を詳細に検討して、日本の平和のためではなくアメリカの軍事戦略上の要請であるという本質を明らかにし、その危険が沖縄・南西地域に集中する実態を暴き、経済・財政面からの極端な不適切を明らかにする。そのことを通じて、憲法原則から如何に逸脱するかを明らかにして、「軍事大国への大転換」への対案としての外交のあり方、平和の作り方を論じる。時宜に適った特集として、自信をもってお勧めしたい。
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特集●軍事大国への大転換阻止を
― 安保3文書改定をめぐって
◆特集にあたって … 編集委員会・飯島滋明
◆「安保3文書」にいたる道 … 前田哲男
◆改定された安保政策3文書の危険性 … 大内要三
◆岸田大軍拡路線の本質 … 布施祐仁
◆安保関連3文書改訂と沖縄 … ?良沙哉
◆抜本的軍事費の増加・生存権とわが国財政 … 熊澤通夫
◆安保関連3文書の憲法学的検討 … 小沢隆一
◆新外交イニシアティブ(ND)提言「戦争を回避せよ」
── 対米外交の鍵は在日米軍基地の「事前協議」 … 猿田佐世
◆どのようにして平和を実現するのか … 稲 正樹
◆連続企画・学術会議問題を考える(8)
【緊急特集】市民と法律家の力で日本学術会議法改悪を阻止しよう
◆司法をめぐる動き〈81〉
・2022年参議院議員通常選挙 選挙無効確認請求事件
── 国会議員主権国家から国民主権国家へ … 伊藤 真
・12月の動き … 司法制度委員会
◆連続企画●憲法9条実現のために(43)
経済安全保障法の経済面での懸念点 … 阿部太郎
◆メディアウオッチ2023●《静かな「独裁者」》
「平和国家」から「軍事国家」へ メディアはまたも戦争に加担するのか … 丸山重威
◆とっておきの一枚 ─シリーズ?─〈№18〉
そこにいる当事者のために … 金井清吉先生×佐藤むつみ
◆インフォメーション
・改憲問題対策法律家6団体連絡会パンフレットのご案内
・敵基地攻撃能力の保有などを新方針とする安保関連三文書改定の閣議決定に抗議する法律家団体の声明
◆時評●社会保障を受ける権利に関し後退禁止の原則を認めない司法判断の危険性 … 今野久子
◆ひろば●第6回「『原発と人権』全国研究・市民交流集会in ふくしま」の開催に向けて … 海部幸造
なお、「法民」のホームページは、下記のURL。
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(2023年1月24日)
昨日、第211通常国会の開幕となった。今朝の新聞で、岸田首相による施政方針演説に目を通して、その大上段ぶりに驚いた。この人、こんな人だったかしら? それだけではない。言ってることがどうもおかしい。大丈夫だろうか、この人。
冒頭こう言っている。この人の日本語、なんだかおかしい。
「政治とは、慎重な議論と検討を積み重ね、その上に決断し、その決断について、国会の場に集まった国民の代表が議論をし、最終的に実行に移す、そうした営みです」
そうではない、こう言わねばならない。
「政治とは、国会の場に集まった国民の代表が慎重な議論と検討を積み重ねて方針を決断し、その決断された方針を政府が実行に移す、そうした営みです」
これが、三権分立の立場である。こうでなくては、憲法によって国権の最高機関とされている国会の立場を貶めることになる。
「私は、多くの皆さまのご協力の下、さまざまな議論を通じて、慎重の上にも慎重を期して検討し、それに基づいて決断した政府の方針や、決断を形にした予算案・法律案について、この国会の場において、国民の前で正々堂々議論をし、実行に移してまいります」
岸田君、頭が高い。これでは、勝手に閣議で決めた政府方針を正々堂々貫くぞという国会軽視宣言ではないか。行政府が立法府に持つべき謙抑性や謙虚さのカケラもない。民主主義というものへの理解に欠けるのではないか。
岸田文雄、どうやら舞い上がってしまっているようだ。すべては、もう自分が決めた。あとは、国会での「議論」が残っているが、正々堂々と受けて立とうではないかと息巻いている。国会での議論によって、内閣の「決断」の変更はないという大上段。
「外交には、裏付けとなる防衛力が必要です。戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、極めて現実的なシミュレーションを行った上で、十分な守りを再構築していくための防衛力の抜本的強化を具体化しました」
「5年間で43兆円の防衛予算を確保し、相手に攻撃を思いとどまらせるための反撃能力の保有、南西地域の防衛体制の抜本強化、サイバー・宇宙など新領域への対応、装備の維持や弾薬の充実、海上保安庁と自衛隊の連携強化、防衛産業の基盤強化や装備移転の支援、研究開発成果の安全保障分野での積極的活用などを進めてまいります」
「こうした取り組みのためには、2027年度以降、裏付けとなる毎年度4兆円の新たな安定財源が追加的に必要となります。行財政改革の努力を最大限行った上で、それでも足りない約4分の1については、将来世代に先送りすることなく、27年度に向けて、今を生きるわれわれが、将来世代への責任として対応してまいります」
この人、自民党内のハト派と言われていなかったっけ? ハトのぬいぐるみを脱ぎ捨てたら、タカの正体が現れたという変身ぶり。これまでは、「聞く力」を特技としていたはずだが、「意見を聞いて決めた後は『聞かない力』を発揮する」と開き直っているという。そこのけそこのけキシダが通るという、エライ鼻息。
「今回の決断は、日本の安全保障政策の大転換ですが、憲法、国際法の範囲内で行うものであり、非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としてのわが国としての歩みを、いささかも変えるものではないということを改めて明確に申し上げたいと思います」
確かに、日本の安全保障政策の大転換だ。憲法、国際法遵守の姿勢を危うくし、非核三原則や専守防衛は投げ捨てて、平和国家としてのわが国の歩みを根本的に変更してしまうものではないか。さらに、演説では「廃炉となる原発の次世代革新炉への建て替えや、原発の運転期間の一定期間の延長を進める」と宣言もした。ほかにも「決断を実行に移す」と肩に力が入り過ぎ。
かれは、演説で「『検討』も『決断』も『議論』も、全て重要であり必要だ。それらに等しく全力で取り組むことで、信頼と共感の政治を本年も進めていく」と語った。しかし、「等しく全力で取り組む」印象からはほど遠い。「『検討』と『決断』はもう終わった。事後報告としての『議論』が残ってはいるが、『決断』は変えない」としか、聞こえない。
この姿勢では、「国民の信頼と共感」は得られない。岸田内閣の支持率低迷はむべなるかな、と言うほかはない。
(2023年1月17日)
鈴木宗男という政治家がいる。中川一郎の秘書から自民党の議員となり、今は、維新に所属している。親露派として知られる人だが、むしろ、親プーチン派というべきだろう。彼の1月6日ブログが、その親露・親プーチンと、反ウクライナの姿勢を世に発信して話題となった。
「プーチン大統領が日本時間6日、18時から36時間の停戦を国防軍に命令している。
ロシア正教のクリスマスは1月7日である。祈りの時間を与えようと考えるプーチン大統領は、いかなる状況であっても失ってはならない人としての心が感じられる。一方、ウクライナ側はこの停戦を評価するどころか『偽善は自分の中に留めておけ』と極めて強い口調で批判しているが、闇雲に批判するゼレンスキー大統領の頭づくりはどうなっているのだろうかと首を傾げざるを得ない。
ウクライナにも熱心なロシア正教の方が沢山いるので、プーチン大統領は配慮しての36時間停戦を発表したと私は受け止めている。
そもそも論だが、ウクライナは自前では戦えない国で、アメリカ、イギリスから武器や資金援助を受けてかろうじて戦っているのではないか。
自分の力で戦えない国がどうして大きなことを言えるのか。その感覚がウクライナ問題の根源である。冷静に大局観を持って対応すべきではないか。
プーチン大統領の新年のお年玉とも言うべき『停戦』を、G7、G20の首脳は重く受け止め、停戦を実現してほしいものである」
分かり易い文章。鈴木の国防観、国際感覚、そして「冷静な大局観」がよく表れている。もっとも、この人の一方的な親プーチン姿勢には、「頭づくりはどうなっているのだろうかと首を傾げざるを得ない」。
この人の最新のブログが、また、なかなかのもの。昨日付けの「ムネオ日記」にこうある。こちらは、けっして分かり易くはない。
「ウクライナ紛争の報道で、ロシアが攻撃しウクライナ人が何人亡くなったというニュースは出るが、ウクライナの攻撃によりロシア兵、ロシア人が何人死んだというニュースは出ない。」
(最初は誤読した。鈴木宗男もロシアの戦況に関する報道統制を批判したのかと思ったのだが、どうやらそうではない。報道機関の不公正を非難する主旨のようなのだ。しかし、ロシアの当局が正確な情報を出さないのだから、「ロシア兵、ロシア人が何人死んだというニュースが出る」わけはない。もっとも、1月1日のウクライナ東部占領地域でのロシア軍臨時兵舎攻撃での被害を89人のロシア動員兵が死亡したと認めた。これが、事情あっての異例なこととと伝えられている)
「メディアは公平とか公正を旨としてと、よく使うがウクライナ問題に関しては圧倒的にウクライナの報道量が多いと感じる」
(この一文には怒りを抑えがたい。加害者と被害者の間の「公平・公正」とは、いったいどうあるべきと考えているのか。ロシアの軍隊が国境を越えてウクライナに攻め込んで、ウクライナの人々の生活の場を悲惨な戦場にしたのだ。死亡者も負傷者も、破壊された建物も公共施設もインフラも、被害のすべてがウクライナのもので、ロシアのものではない。ロシアには民間人の犠牲者はない。報道量に絶対差があって当然ではないか)
「こうした流れに視聴者も段々引きずられ、ウクライナに同情が寄る面が出てくるのではないか。」
(断じてそうではない。人々を、反ロシア・反プーチンとしているのは、侵略者に対する憎しみである。親ウクライナの心情は、被侵略者への同情である。侵略者側と被侵略者側、この立場の違いの大きな落差がロシアとウクライナに対する感情を分けている)
「それぞれ世界でたった一つの命である。命を守るためには『停戦』しかない。 メディアから『停戦すべきだ』という発言がないことは残念である。15日のワシントンにおける岸田総理の記者会見でも停戦に向けての言及はなかった」
(人の命が大切なことは言うまでもない。その命を奪っている犯罪国がロシアであり、その首魁がプーチンではないか。昨年2月24日のウクライナ侵攻の前史として両国間にどんな経緯があったにせよ、戦車で国境を越えたプーチンの罪業は消せない。鈴木宗男も、プーチンに対して、潔くその罪を認めた上で停戦に応じるよう、強く進言すべきではないか)
「『核なき世界』という前に、先ずは『停戦』と思うのだが…」
(最後は、意味不明の一文。しかし、ここにも核による反撃をチラつかせるプーチンの罪を薄めようとの意図が感じられる。停戦はあってしかるべきだが、加害者と被害者の区別を曖昧にしてはならない)
(2023年1月10日)
本郷・湯島の皆様、こちらは「九条の会」です。年は新たまりましたが、目出度くはありません。お年玉の代わりに、大軍拡大増税というのですから。その皺寄せは、福祉や教育の予算を削減となるでしょう。物価は上がる、賃金も年金も追いつかない。コロナの勢いは止まらない。安心して暮らせません。
そして、何よりも平和が危うい。今、ウクライナでは現実に、砲弾が飛び、ミサイルの攻撃が行われています。おびただしい人が死に、血が流されています。人類は、何と愚かなことを繰り返していることでしょうか。日本にとっても、他人事ではありません。
この事態に最も重い責任を負うべきは、言うまでもなくロシアのプーチンです。皆さん、そのプーチンの年頭所感をお聞きになりましたか。彼は、ウクライナへの侵略者でありながら、国民には「祖国防衛のための軍事行動だ」というのです。「祖国の防衛はすべての国民の神聖な義務である」、「祖国の防衛は、次の世代の国民への神聖な義務である」などと。
今ロシアがウクライナで行っている軍事行動は、明らかに侵略戦争と言わねばなりません。それを彼は、「祖国防衛行動」と言っています。これが権力者の常です。「侵略戦争」を「自衛のためのやむを得ない軍事行動」と言うのです。自国は常に正しい被害者で、国境を越えて出兵しても「やむを得ない自衛の行動」だという。そうしなければ攻め込まれるのだから、と。まるで、「自衛のための敵基地攻撃能力論」ではありませんか。
皆さん、欺されてはなりません。悪徳商法の甘い言葉にも、統一教会やその同類のカルトが語る因縁話や献金勧誘にも。そして、最もタチの悪い政権のウソにもです。
かつて、日本の国民の全てが欺されました。天皇が神であるとか、日本が神国であるとか、戦争すればカミカゼが吹いて日本は必ず勝つとか。荒唐無稽な嘘っぱちにダマされての戦争で、310万もの命が奪われました。それだけではなく、2000万ものアジアの人を天皇の軍隊が殺しました。もう、再び欺されてはなりません。
軍事予算を倍増し軍備を拡大し敵基地攻撃能力を誇示することで、中国やロシアや北朝鮮との平和が作れるでしょうか。戦争になってもよいということなのでしょうか。岸田内閣には、安全保障政策の大転換を勝手に決めるなと、声を上げようではありませんか。
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岸田政権にだまされるな
「本郷湯島九条の会」石井 彰
新年初の「本郷湯島九条の会」の昼街宣は、北西の風5mのなかで、8人の方々によっておこないました。温度は10度近くありましたが、風が冷たいひとときになりました。
マイクは、岸田文雄政権による戦後安全保障政策の大転換を訴え、「欲しがりません、勝つまでは」、「神風が吹く」といわれた戦前と同じように国にだまされてはいけない、と訴えました。
いまアメリカの軍事戦略にそって岸田政権は、安全保障法制という戦争法で「集団的自衛権の行使」に基づいて、「敵基地攻撃能力保有論」を国民に迫っています。敵基地攻撃能力を持つことをアメリカに誓約した政府は、軍事費を国内総生産GDPの2%にすると言いだし、2023年から27までの5年間で43兆円の軍事費にします。これはアメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事大国になることになります。これが政府の言う「専守防衛」の真実です。「自分の国は自分で守る」と岸田文雄首相は言いますが、政府がアメリカに誓約したのは、アメリカのおこなう戦争に付き従い、その先兵として「敵を先制攻撃」するというものです。それは暮らしと経済の破壊をもたらすことは必至です。
さらに日米安全保障条約第5条で、「共同防衛」という名の日本の自衛隊がアメリカ軍の指揮下で先兵の役割を果たすことになります。
今こそ、日本国憲法第9条を守り、アジアへ世界へ発信するために日本の役割はあります。
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[プラスター]★先制攻撃の敵基地攻撃能力保有はやめろ、★国にだまされるな、★岸田文雄首相にだまされるな、★国民が苦難を強いられているのに軍拡を進める岸田は止めろ、★軍事費を増額するというなら国民に信を問え、★岸田文雄政権は退陣しろ、★新型コロナに対してちゃんと対策を立てろ。
(2023年1月7日)
人が自分自身の考えや意見をもつことは、実は幻想に過ぎないのではないか。これが自分の意見だと思いこんでいるもの、自分が選び取ったと思いこんでいる普遍性をもった思想も、実のところ、誰かから刷り込まれたものに過ぎないのではないのか。
自分の精神の核になるものが、他からの意図的な働きかけで形作られているのかも知れないということは、自分とは何であるのかという根源的な問に関わる恐ろしさをもっている。
他からの強制や意図的な働きかけに安易になびくことを排して、揺るがぬ自分自身でありたい。自律した自分自身の意見をもちたい。そのために大事なことは、まずは権力や社会の多数派とは反対の位置に身を置くことだと考えてきた。権力を疑え、権力につながる一切に抵抗せよ、社会的同調圧力に抗え、という姿勢を堅持することだ。
そのように意識して初めて、大勢に流されぬ自覚した自分を確立できることになる。「そりゃ当たり前だ。何も力んで言うほどのこともなかろう」と思っていただけたらありがたい。
本日の毎日新聞朝刊2面のコラム「土記」に、「一切を棄つるの覚悟」というタイトルで、その実践者に触れた記事を興味深く読んだ。筆者は伊藤智永(専門編集委員)、時流の大勢に流されなかった実践者とは石橋湛山である。
その書き出しがよい。「世論の大勢にサオささない。多数派の「常識」を疑う。一般記事と違うコラムの役目だろう」。これに、「権力から距離を置き」あるいは「権力に抵抗しても」と加えれば満点となるところ。
戦前・戦中を通し頑固に自由主義の論陣を張った経済ジャーナリスト、石橋湛山(戦後、首相)は、世間から「理路整然と間違ったことを言う始末の悪い男」とうあきれられたという。
彼が、ワシントン軍縮会議直前の1921(大正10)年、経済雑誌「東洋経済新報」に匿名で書いた社説「一切を棄つるの覚悟」には驚かされる。
「(米国からのワシントン会議呼びかけで)先手を取られた日本は、列国を驚かす大覚悟で臨まなければ失敗する。植民地の朝鮮、台湾、樺太(サハリン)を棄てよ。中国、旧満州(現中国東北部)、シベリアから兵を引け。明治以来の日本が勝ち得た何もかも棄ててかかれば、奪われるものはない。
世評はこれを空想的平和主義の空論と冷笑するか。…しかし、わが軍備は脅威ではない、侵略しないというが、いつの世もそれで軍拡競争は起きる。植民地経営に実利はない。民族自立は歴史の流れ。世界に先んじて本土だけの国に戻り、世界中から信頼される貿易立国として繁栄しよう。
コラムはこう言う。「それでもあざけり、ののしり、黙殺した政府と国民が20年後、太平洋戦争を始める。死者310万人、沖縄戦、本土空襲、原爆投下の末に『一切を棄つる』日本となって、湛山が予言した経済大国を実現したのは周知の通り」
あの時代に、権力にも圧倒的な国民世論にもなびかず臆せず、自分自身であり続け、これだけのことを言ってのけた石橋湛山には敬意を表するしかない。
このコラム、最後がまたよい。
「湛山なら今、何を書くか。軍拡増税反対、ウクライナ即時停戦、日朝国交正常化、中国首脳訪日、天皇訪韓、日露平和条約締結。八方から怒声を浴びること必定。」というのだ。
「天皇訪韓」だけは抜き、「改憲阻止、核禁条約批准、全方位平和外交、野党の連携、学術会議の自律性堅持、原発再稼働反対」を加えれば、ほぼ満点だと思うのだが。そして今、湛山が苦労した時代ではない。けっして八方の全てから怒声を浴びることにはならないはずではないか。
(2022年12月30日)
2022年が間もなく暮れてゆく。この年を振り返って、世界を揺るがした最大の出来事は、疑いもなく「プーチン・ロシア」によるウクライナ侵略である。事前には、まさかそんなことが現実にはなるまいと楽観していただけに、衝撃は大きかった。
2月24日の開戦以来、無数の人が無惨にも殺され傷付けられた。戦闘員も非戦闘員も、男も女も老人も子供も。多くの家が焼かれ、街が焼失し、家族が引き裂かれた。故郷を追われて逃げざるを得ない人が難民となって世界に散らばった。どこの国でも、殺人・傷害・放火・略奪の犯罪となる行為が、戦争の名で大規模に実行された。悲惨な歴史が繰り返されている。人類は、少しも賢くなっていないのだ。
この戦争の勃発が、我が国の安全保障に関する世論や政策に与えた影響も衝撃だった。右派勢力は大声で叫んでいる。「9条が前提とする国際環境は崩壊した」「9条の理念では国を守ることができない」「国民自身が、自らの国を守る覚悟をもたねばならない」「軍備の充実なくして国家の安泰はない」「防衛費を倍増せよ」
さらには、具体的にこうも言う。「今日のロシアは、明日の中国であり北朝鮮である」「中国・北朝鮮からの攻撃に備えよ」「防衛力の整備こそが、敵の攻撃の意図を思いとどまらせる」「古来言われているとおり、『平和を欲せば戦争の準備が必要』なのだ」。
だから、「専守防衛論は、今や誤りである」「敵基地攻撃能力の保有こそが不可避の安全保障政策である」「敵基地とは、ミサイル発射基地のみを意味するものではない。戦略的指揮系統の中枢を含むものでなくては意味がない」「自衛力を最小限度の実力に限定してはならない」「敵の攻撃が確認された後にのみ反撃できるとするのでは遅く実効性に欠ける」「敵が攻撃に着手することが明確になれば、躊躇のない反撃ができなくてはならない」
かくて、攻撃的な武器の取得を自制してきた防衛政策は大転換されようとしている。スタンドオフミサイルを備えようというのだ。1機2億とも3億とも言われるトマホークを500機も購入するという。
この道は、いつか来た道だ。暴支膺懲、鬼畜米英…。いつも我が国のみが正しい。我が国の軍備は自衛のためのやむを得ないもので、邪悪な諸国が我が国を狙っている。自衛のための装備の充実、自衛のための攻撃能力、そして、自衛のための先制攻撃。
こうして、相互が軍事優越を求めての悪循環に陥る。安全保障のジレンマこそが、悪魔のささやき、唆しである。こうなってはならないとするのが、9条の理念である。今、その実効性が試されてる時を迎えている。
そして、今年の国内ニュース最大の衝撃は、7月8日の安部晋三銃撃事件である。第一報での背筋の寒い思いは、テロの時代の到来かという恐怖感だった。幸い、この銃撃は、政治的な主張貫徹のための殺人ではなかった。その後に続く報復的なテロは起きていない。宮台真司襲撃事件の未解決が気がかりではあるが。
この事件の影響はまったく思いがけないものとなった。銃撃事件の被害者が悲劇の殉教者に仕立て上げられるのではと一瞬は考えた。保守政権は、当然にそのような思惑で動いた。改憲を悲願とした国家主義政治家安倍晋三をテロの殉教者とすれば、改憲に国民意識を動員できるだろう。おそらくはこのような思惑からの政治利用が安倍国葬強行の動機であったろう。
しかし、この政治利用は成功しなかった。世論は銃撃犯の動機に同情し、安倍晋三は銃撃犯に象徴される多くの統一教会信者の悲劇への加害者と捉えられた。しかも、岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三の3代にわたるカルトとの深い結びつきが国民の目に晒されることとなった。
安倍晋三だけではなく、自民党そのものの加害責任を問う声が高まる中で歳を越すことになる。年明け、銃撃犯山上徹也が起訴されてその刑事訴訟が始まる。統一教会と安倍晋三との関係が、さらに深く暴かれることになるだろう。統一教会への解散命令請求も避けて通ることのできない事態に立ち至っている。そして、統一教会が起こしたスラップ訴訟には、私も関与している。
気候変動問題に展望は開けない。コロナもおさまらない。日本の経済力は長期低落の中で危機的な状況だという。国民生活の低迷と格差の開きは厳しい。原発再稼働のみならず造設問題には腹が立つばかり。政治とカネの醜悪な関わりは、いっこうに改善されない。日本学術会議問題や大学の自治も心配でならない。国家主義の傾向進展も危うい。ヘイトや差別の問題も解消にはほど遠い…。
問題山積の年の瀬である。嘆いてばかりはいられない。力を合わせて何とかしなければならない。微力な者どうしで。
(2022年12月25日)
我が国の安全保障政策を根本的に転換し、平和憲法をないがしろにする「安保3文書」の閣議決定。これに対する批判の声明が、各方面から相次いでいる。
法律家の分野で特筆すべきは、日弁連が12月16日付で「「敵基地攻撃能力」ないし「反撃能力」の保有に反対する意見書」をとりまとめ、19日付で内閣総理大臣及び防衛大臣宛てに提出したこと。
https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2022/221216.html
そして、一昨日(12月23日)の「立憲デモクラシーの会」の声明である。
同「会」は、「立憲民主党」とやや紛らわしいが、「憲法に従った民主政治を回復するために」結成された、著名な研究者で作る任意団体である。2014年、安倍晋三政権が集団的自衛権行使容認の憲法解釈に転じたとき、これを批判する立場の法学者・政治学者を中心に、安倍内閣の方針に対抗すべく設立された。設立時の共同代表は樋口陽一、山口二郎、奥平康弘。設立の際の記者会見で、奥平は「安倍政権の下で、立憲主義とデモクラシーはともに危機的状況にある。私たちには、異議申し立てをする義務がある」と述べている。
その「会」が、12月5日に「いわゆる反撃能力の保有について」とする声明を、さらにこの度「安全保障関連三文書に対する声明」を発表した。憲法や政治学の研究者の危機感は強い。
http://gifu9jou.sakura.ne.jp/democrcy221223.pdf
声明は、「『抑止力』が相手国に攻撃を断念させる保証はなく、逆にさらなる軍拡競争をもたらし安全保障上のリスクを高める」「先制攻撃と自衛のための反撃は区分が不明確。敵基地攻撃能力の保有は専守防衛という日本の防衛政策の基本理念を否定する」などと指摘した。
また、防衛費増額についても「GDP(国内総生産)比2%という結論に合わせた空虚なもの」として「税負担の増加は国民の疲弊を招く」と批判した。さらに、手続き面でも「国会で説明せず内閣と与党だけで重大な政策転換を行った」として「国民不在、国会無視の独断」と断じている。
同日、国会内で記者会見した研究者の各発言は、次のように報じられている。
長谷部恭男・早稲田大教授(憲法) 「なぜ軍拡を進めるのかについて、安全保障上の必要性や合理性に関する説明が欠けている」
中野晃一・上智大教授(政治学) 「国会で説明せず、閉会後に独断でなし崩し的に閣議決定した。2014年に安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定だけで決めた手法が、いよいよ先鋭化している」
石川健治・東大教授(憲法) 「露骨に『敵』や『攻撃』という観点が打ち出されているが、周辺国の危機意識を高めただけだ。閣議決定で決め、法整備や財源を後付けしている」
声明は、以下のとおり(一部割愛)。
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安全保障関連三文書に対する声明(2022年12月23日)
岸田文雄内閣は、12月16日、安全保障関連三文書の改定を閣議決定した。立憲デモクラシーの会は、すでに敵基地攻撃能力保有の問題性を指摘する声明を発表しているが、今回の三文書について、改めて、その内容と手続きの両面から疑義を呈したい。
政府は敵基地攻撃能力の保有により「抑止力」を高めることが日本の安全に不可欠だと主張する。しかし、一般に抑止という戦略は相手国の認識に依存するので、通常兵力の増強が相手国に攻撃を断念させる保証はなく、逆にさらなる軍拡競争をもたらして、安全保障上のリスクを高めることもありうる。
また、政府は日本が攻撃を受ける事態の意味について、「敵国」が攻撃に着手することを含むかどうかについてあえて曖昧にしている。すなわち、日本に向けたミサイルの発射の前に日本から攻撃を行う可能性を否定していない。そもそも、「敵国」が発射するミサイルが日本を攻撃するためのものか否かは、発射された後にしか確定し得ない。「先制攻撃」と自衛のための「反撃」の区分はきわめて不明確であり、敵基地攻撃能力の保有は専守防衛という従来の日本の防衛政策の基本理念を否定するものと言わざるを得ない。
政府の打ち出した防衛費増額についても、それが日本の安全確保に資するものかどうか、疑問である。来年度から5年間の防衛費を43兆円、GDPの2%にすると政府は表明した。しかし、今回の防衛費急増は、必要な防衛装備品を吟味したうえでの積み上げではなく、GDP比2%という結論に合わせた空虚なものである。すでに、第二次安倍晋三政権がアメリカから有償武器援助で多くの防衛装備品を購入しており、その有効性についての検証もないまま、いたずらに防衛費を増加させることは、壮大な無駄遣いに陥る危険性をともなう。
臨時国会が閉幕してわずか1週間の間に、与党調整を済ませ、閣議決定するという手法も批判しなければならない。そもそも防衛費大幅増、敵基地攻撃能力の保有は今年4月からウクライナ戦争に便乗する形で、自民党内で声高に叫ばれるようになった。岸田首相にその気があれば、7月の参議院選挙で防衛費急増とそのための増税を争点とし、国民の審判を受けることができたはずである。選挙の際には争点を隠し、秋の臨時国会でも国会と国民に対する説明をせず、内閣と与党だけで重大な政策転換を行ったことは、国民不在、国会無視の独断である。
今回の防衛政策の転換と防衛費急増は、国民の疲弊のみならず、東アジアにおける緊張を高め、軍拡競争を招くことが憂慮される。立憲デモクラシーの会は、日本の安全保障政策のあるべき姿と防衛力の規模について、来年の通常国会において白紙から議論を進めることを求める。
(2022年12月18日)
八っつぁん「たいへんだ、たいへんだぁ。ご隠居、昼寝なんかしていられる場合かよ」
ご隠居「おや、八っつぁんか。まあ、落ち着け。いったいどうした」
八「どうしたもこうしたもあるもんか。落ちついてなんかいられない。政府は戦争おっぱじめる決意をしたそうじゃないか」
隠「ああ、なるほど。16日の安保3文書閣議決定のことだな」
八「そうそう。その3文書。まずは、うんと武器を揃えるぞ。そのため、軍事予算は倍増するぞ。さあ、戦争だ。てぇことじゃないのかね」
隠「そう言われると、なるほど、そのとおりかも知れんな」
八「そうかも知れんななんて。よくも変に落ちついてんだね」
隠「まずは、3文書よく中身を吟味しなけりゃならんな」
八「まだるっこいこと言ってやんなあ。でも教えて。3文書っていったい何だ」
隠「安保3文書は、(1)最上位の「国家安全保障戦略」、(2)「防衛目標」達成の手段を示す「国家防衛戦略」、(3)軍事費の総額や装備品数量を示す「防衛力整備計画」のこと。中身は、さっき八っつぁんが言ったとおりだね」
八「そんなたいへんなこと、勝手に決めていいもんかね」
隠「臨時国会が終わったのが10日。その後に、与党協議と自民党内の議論があっただけで国会審議はまったくない」
八「それじゃ、まだちゃんと決まったというわけじゃないんだ」
隠「そのとおりだ。議席数では与党の勢力が圧倒しているが、けっして世論がこの閣議決定を支持しているわけではない。頑張り次第だな」
八「戦争の危険てぇのが問題なんだが、何が一番危険なのかね」
隠「一言で言えば、『専守防衛』というこれまでの方針を転換して、『敵基地攻撃能力』をもつと明言したことだ」
八「『専守防衛』って、これまでも聞かされてきた。万が一、日本にどこかの国の軍隊が攻め込んできた場合にその侵略軍と闘うことだけはできるようにしておこう、ってことだよね。だから、敵国を攻撃するような武器の装備は必要ないってこと。ご隠居は、それにも反対していたんじゃなかったったっけ」
隠「そのとおり。そもそも憲法9条は、軍隊をもつことを禁止している。警察予備隊から、保安隊、自衛隊と成長してきた日本の軍事力は憲法違反というしかない。だがな、これまで政府は、専守防衛に徹するから自衛隊は違憲ではない、と言い続けてきた。この方針が大転換することになる」
八「今度は、敵基地を攻撃できるような強力な兵器をバンバン備えるってわけだ」
隠「中国や北朝鮮やロシアという国名を出してな。いざというときには、敵の基地を攻撃する能力を備えるという」
八「そんなことしたら、中国や北朝鮮やロシアも穏やかでない。対抗手段をとるに違いない」
隠「そのとおりだ。敵基地攻撃を実行に必要だとして、米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークなど大量のミサイルを購入して配備することになる」
八「そうすりゃ、相手も、負けるものかと軍事力を増強することになる。すると日本も負けてはならないとなり、相手もまた、負けるものかと…。切りがない」
隠「それを、『安全保障のジレンマ』とか、『軍拡競争の悪循環』と言っている。そんなことにならないための平和憲法だったのに」
八「戦争の危険もだけど、軍拡にはカネがかかるよね」
隠「来年度から5年間の軍事予算を43兆円とすることになった。これはたいへんなことだ。その後は、軍事費をGDPの2%にするという。今の2倍だ。すると日本は世界3位の軍事大国になるということだ」
八「するってぇと大増税ってことですか。日本の経済は落ち目で、国の借金はベラボウな金額で、福祉も医療も教育も予算が不足だっていうじゃないですか。そんな日本が軍事費のための大増税ができるはずもない」
隠「軍拡はやむを得ないとする人たちも、増税は反対だな。早くも、毎日新聞が、17、18の両日全国世論調査をして、今日の夕方その結果を発表している」
八「世論調査ね。まずは、こんな閣議決定をしたことで、岸田内閣の支持率は上がったんですか。それとも下がったんですかね」
隠「見事に下がった。岸田内閣の支持率は25%で、11月19、20日の前回調査の31%から6ポイント下落し政権発足以降最低となった。しかも、不支持率は69%で前回(62%)より7ポイント増加。末期症状といってもよい」
八「次に気になるのは、大増税への賛否」
隠「防衛費増額の財源としての増税に「賛成」が23%で、「反対」の69%を大きく下回った。社会保障費などを削ることについては「賛成」が20%で、「反対」がなんと73%だ。そして国債発行は「賛成」33%、「反対」52%。」
八「岸田政権、ここに進退きわまったり」
隠「おや、随分と元気になったじゃないか」
八「まだ、大軍拡が決まったわけじゃない。何よりも平和が大切だよ。隣り合う国を敵国として軍備を張り合うなんて、愚の骨頂じゃないか」
隠「そのとおりだ。みんなで反対すれば、この軍拡は阻むことができる」
八「みんなに訴えよう。『たいへんだ、たいへんだぁ』じゃあなく、軍拡には『はんたいだ、はんたいだぁ』」
隠「軍事優先に反対して、子どもや年寄りを大切にしなけりゃのう。そうだ。年金切り下げて防衛費にまわすなんて絶対に許さん」
八「ところでご隠居、この噺にはオチがないね」
隠「あたりまえだ。オチついてなどおられるか」
(2022年12月13日)
本郷三丁目交差点ご通行中の皆さま、とりわけ若い方々に訴えます。ご意見もお聞かせいただきたい。あなたは、命じられたら戦争に参加しますか。兵士となって戦場に行く覚悟がありますか。怨みのない人と命をかけた殺し合いもやむを得ないと思いますか。
お父さんやお母さんの世代の方にも伺いたい。愛する子どもや家族を戦争に差し出しますか。ご親戚や友人、隣人ならどうですか。国を守るためなら戦争もやむを得ないと思いますか。誰かに、命をかけて国のために闘ってもらいたいと思いますか。
政府・与党は今、大軍拡大増税に踏み切ろうとしています。軍拡って他人事ではありません。軍拡は武器だけでなく、たくさんの兵士を必要とします。あなただって、兵士として戦場に引っ張られるかも知れない。祖国の防衛のためなら、勇躍して任務に当たりますか。
政権や右翼や扇動者は、平和を維持するためには抑止力が必要と言います。抑止力って、イザというときには反撃できる能力のことのようです。張り子の虎では抑止力にならない。イザというときには対等以上に戦闘する能力を備えるための軍備拡張。あなたは、イザというときの反撃のために兵士になることをやむを得ないと受け容れますか。
臨時国会が10日に閉幕となりました。この国会では岸田内閣のタカ派的な姿勢は目立ちませんでした。ところが、国会が終わってそのくびきから脱したとたんに、事態は様変わりしました。昨日、安保3文書の与党内合意が成立したことが公表されました。本日の各紙朝刊が、その骨子を報道しています。これが16日に閣議決定される予定ということです。
恐るべき事態と言わねばなりません。歴代政権が憲法違反だとしてきた敵基地攻撃能力の保有が明記されることになります。米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークが導入されます。来年23年度から27年度までの5年間で、防衛予算は総額43兆円に膨れあがります。大軍拡に伴う大増税を覚悟せよというのです。そのうえで、大軍拡のとばっちりを受けて、教育や福祉の予算は削らざるを得ないことになります。「軍事栄えて民痩せる」という時代がやってきます。本当にこれでよいのでしょうか。
なによりも、軍拡は兵士を必要とします。あなたは兵士として、命をかけて闘う覚悟がありますか。大切な人を、お国のために差し出す覚悟がありますか。
12月です。太平洋戦争の開戦を思い起こさねばなりません。1941年12月8日の天皇の「詔勅」は、こう言っています。
「日本は平和を望み、長い間忍耐を重ねてきたが、米も英も少しも互譲の精神がなく、ますます経済上・軍事上の脅威を増大し続け、それによって我が国を屈服させようとしている。このような事態が続けば、アジアの平和を願っての我が国の努力はことごとく水の泡となり、帝国の存立もまさに危機に瀕している。今や自存と自衛のため、決然と立ち上がって一切の障害を破砕する以外にない。」
今また、同じ轍を踏みかねません。かつては、日本は正義の国で、英・米・蘭・ソ・中などは、どれも日本を敵視する不正義の国。ドイツやイタリアと同盟して、これと闘わねばならないとしました。あの頃とは、敵国・味方国が変わっていますが基本は変わりません。かつてヒトラーのドイツと結んだ日本は、今、アメリカと同盟しています。主たる敵が中国であることは隠そうともしません。中国の脅威に備えて軍備を拡大し、軍拡増税をしようというのです。
77年前の敗戦のあと、日本国民は再びの戦争という過ちを犯してはならないと、深く強く決意しました。その決意の根本には、平和は武装することによって得られるものではない。近隣諸国との軍備拡大の競争という愚かなことはしない。それが日本国憲法9条に結実しました。
あの戦争の反省には、まったく異なる二通りがありました。一つは、戦争に負けたことを反省しようというのです。今度は、精強な大軍事力を作って、米英にも、中国にも負けない大軍事国家を建設しようという反省の仕方。これは、ほんの一握りの戦争指導者の立場。圧倒的な国民は、戦争そのものを反省しました。どんな理由があろうとも、けっして再び戦争をしてはならない。
その国民の意思を結実した憲法9条が次第に影を薄くし、いま自衛隊という軍事力が存在感を増すにいたっています。それでも、憲法9条とそれを支える世論があるから、敵基地を攻撃するような武器は持てないとしてきたのです。
今回の安保3文書は、かろうじて9条の効果としての「専守防衛」路線を事実上放棄すること。敵国の軍事力には、我が国の軍事力を対抗することで、平和を守ろうという路線への転換にほかなりません。明文改憲ないままに、事実上の「壊憲」が行われようとしています。このままでは、9条は空文に帰しとめどない軍拡の悪循環に巻き込まれかねません。慌てず、騒がず、浮き足立つことなく、落ちついて、戦争のない国際社会を作る努力をしようではありませんか。
[プラスター]★敵基地攻撃能力、戦争への道。★軍拡大増税、くらしはカツカツ大赤字。★穏やかな声優しそうな顔で、憲法9条を壊してゆく岸田政権。★人類の理想、戦争放棄の9条。★トンデモない 軍拡大増税。★浮き足立つな落ち着こう、反対しよう戦争への道。★9条の会、迷わず平和路線。★トマホーク、ハイマースもオスプレイもいらない、憲法9条と国連強化。